狙えテンバガー!2倍株とは異なる、10倍株の選び方

株式・債券

個別銘柄へ投資している方にとって、大きな値上がり、いわゆるテンバガーには大きなロマンがあります。

テンバガーとは株価が10倍にも上昇した銘柄のことであり、成功した個人投資家が一発当てて資産を大きく増やしたというのを一度は聞いたことがあるでしょう。

しかしテンバガーは、単に大きく値上がりした2倍株と異なり、到達するための条件があることはあまり知られていません。

ここではテンバガーを狙うために必要なことを考えてみましょう。

テンバガーの魅力

テンバガーとは、株価が10倍以上に成長する銘柄のことをいいます。

ある時点での株価から10倍以上の成長をした株式が、テンバガーと呼ばれるのです。

成功した投資家がテンバガーで大きく資産を増やしたというのを聞くと、テンバガーにはロマンさえ感じられます。

多くの個人投資家がテンバガーを夢見て銘柄探しに熱中しているのですが、よくあるような2倍程度の値上がりと比べると、テンバガーに到達するためには満たすべき条件があることはあまり知られていません。

言い換えれば単なる優良銘柄では株価が2倍にはなっても10倍には到達しえないのです。

過去のテンバガーの例

まずは短期間のうちにテンバガーを達成した銘柄について、株価の動きのイメージを具体化していきましょう。数年以上かけてテンバガーになった銘柄にはディップ(2379)、ワークマン(7564)など数多くありますが、ここで狙うのはおよそ1年以内での短期でのテンバガーです。

1. グローバルウェイ(3936・東証マザーズ)

3936グローバルウェイ

グローバルウェイは最近の仕手株として超有名です。株価が上がった要因は数度にもわたる決算上方修正・株式分割発表ですが、ここではそのような経緯を置いておいて純粋にテンバガー銘柄として見てみます。なお株価は2021年9月16日の1:5分割、2021年11月3日の1:3分割、2021年12月3日の1:2分割を考慮した後のものです。いや、株式分割のペースがおかしくないか?という感じですが。

グローバルウェイは2016年4月19日に東証マザーズへ上場しました。転職・就職口コミ情報サイト「キャリコネ」を展開し、クラウド型プラットフォーム、アプリ支援等で業績を拡大しています。

上場してから数年、株価は低位しており、2021年7月21日で終値は36円でした。この日の午後、通期の純利益の上方修正を発表しました。その上方修正の理由は、傘下にあるスイスの会社が手がける仮想通貨“タイムコイン”を一定数売却することで、営業外収益が増加(純利益で6,500万円の上振れ)したとのことです。

それほどのインパクトには見えないこの発表ですが、翌日から5営業日連続のストップ高が起き、その後も株価は上昇し2021年8月12日には279円の高値をつけています。おそらくですが、当時のグローバルウェイの事業で仮想通貨を保有していたことを把握していた投資家が少なく、サプライズ感があったのでしょう。

一旦は急落し数日程度で安値108円まで下落しますが、ジリジリ株価は上がり、2021年9月22日には高値639円となり2ヶ月で株価20倍を達成しています。

その後また急落し数日程度で安値333円まで下落しますが、完全に仕手株と化したグローバルウェイは、もともとの出来高の少なさもあいまって2021年11月2日には高値2,192円をつけて、7月21日からたった3ヶ月半で株価60倍超えを達成しています。

仕手株のその後の末路についてはあえて語るまでもないでしょう。

2. フューチャーベンチャーキャピタル(8462・JASDAQ)

8462フューチャーベンチャーキャピタル

フューチャーベンチャーキャピタル(以下FVC)は2001年10月10日にJASDAQスタンダードへ上場しました。社名の通り独立系ベンチャーキャピタルであり、地方自治体、地銀と連携し、投資先の育成に注力しています。チャートの通り大きな株価上昇が2度起きており、2回目の上昇でテンバガーを達成しています。

189円で2014年を終えたFVCは知名度の上昇によりジリジリと株価が上がっていき、2015年2月13日には高値で1180円、2015年3月4日には高値で1549円まで上昇しました。この時は惜しくもテンバガーには到達しませんでしたが、個人投資家を中心に大きく利益を挙げたようです。

ちなみに私も2014年から手を出していたのですが、2倍程度で全て利食いしてしまい、大きな後悔することになったと話題です。

その後は半年程度400円台半ば〜500円台を推移していましたが、2015年10月頃から投資先の企業の成功が明るみに出てくると株価は上昇し、2015年12月3日には高値で2,887円、2015年12月16日に高値で3,145円、2016年1月12日に高値で3,635円をつけ、2014年末から株価19倍越えを達成しました。

ちなみに私は2015年末のときも再エントリーしたのですが、またも2倍程度で全て利食いしてしまい、再び大きな後悔することになったと話題です。そのときはテンバガーになるとは想定しておらず、利食いの欲望に抗う握力の重要性を痛感し、毎晩、枕を涙で濡らしていました。

3. さくらインターネット(3778・東証一部)

3778さくらインターネット

さくらインターネットは2005年10月12日に東証マザーズへ上場しました。データセンター運営の独立系大手であり、IT企業や官公庁向けの実績も多く残しており、近年ではクラウドサービス主軸へ移行しています。個人投資家には馴染みのある銘柄で、古のインターネットに詳しい方なら誰でも知っている企業だと思います。(たぶん)

2015年6月30日では終値で128.75円でしたが、2015年12月15日につけた終値の283円を転換点に、1ヶ月前に公表されていた東証マザーズから東証一部への市場変更もあいまって、みるみる株価が上昇していきます。

株価上昇の勢いは年を跨いでも全く衰えず、2016年1月13日には2,111円の高値をつけたことで、前年6月末から株価16倍を超え、約半年でテンバガーを達成しました。

ここからはテンバガーとなる銘柄の特徴や、その選び方について考えてみます。

テンバガーの条件

成功

時価総額が200億円以下かつ株価が500円以下

テンバガーを狙う上で、時価総額が小さいことは絶対条件です。

企業の時価総額は、株価に発行済株式数をかけて計算されます。時価総額は企業の価値や規模を評価するために使われる指標です。

企業の時価総額が大きくなればなるほど株価が10倍となるために必要な金額が大きくなっていくため、テンバガーに到達するためには時価総額がある程度の規模に収まる必要があるということになります。

よく考えてみれば当たり前のことで、既に大企業であるトヨタ自動車やNTTの株価が今後数年で2倍になることはもしかするとあるのかしれませんが、10倍に上がるとはとても思えませんよね。

一般に、時価総額1,000億円未満の銘柄が小型株と言われますが、テンバガーを狙うためにはその中でも時価総額が小さい200億円以下が望ましいです。ダブルバガー狙いなら大口がギリギリ買い付けにくい時価総額300億円程度に目をつけるのもありですが、大きく値上がりを狙うならより小さい時価総額の銘柄に対してエントリーしておきたいところ。

また株価についても、10倍という値上がり幅を考えると個人投資家でも手を出しやすい500円以下の株価であることが望ましいと言えます。

主要株主がオーナー

時価総額と並び重要な概念が浮動株の比率です。

浮動株とは、上場株式の中でも市場に流通し売買される可能性の高い株式のことです。

浮動株の逆の概念としては固定株があり、これは企業の創業家が保有している株式や親会社が保有している株式、または持ち合い株などが該当します。固定株は市場に出回る可能性が低いのです。

テンバガーを狙うためには市場に出回っている株式が少ないという、浮動株比率の低さも重要なポイントです。

主要株主が会社のオーナーである場合、保有している株式を早期に売り出すことは経営権を手放すことにつながるため、売却は考えにくく、市場に出回る株式の絶対数が限定されます。

市場に出回っている株が少ないということは、その少ない株式に多くの人が買いに群がることで、大きな値上がりへ繋がる可能性が高くなるのです。逆に、市場に出回っている株式が多い場合、多くの人が株式を持っている状態であり、株価が上がれば利益確定売りを出してくるため、テンバガーのような極端な値上がりを短期間で達成することが難しくなってきます。

上場から10年(できれば5年)未満

短期間のうちに多くの人がひとつの銘柄へ熱狂的に買い向かうのはどのような場合でしょうか?その要素のひとつとして「企業があまり知られていない」というものがあります。

上場からある程度の長い期間が経つと、大なり小なり株価の変動が起き、その企業のことがよく知られるようになります。もし、よく知られている銘柄であれば、短期間のうちに急激に買いが集中することは起きにくいというのは想像できます。

実際、テンバガーとなった多くの銘柄は上場からそれほど長い期間が経っておらず、長くても10年、後述する条件を満たすのであれば5年程度までが目安と言えるでしょう。

グロース株であること

近年テンバガーを達成した株の多くはグロース株と呼ばれる高い成長性の見込める銘柄に該当します。

グロース株とは、ざっくり言えば企業の成長性で株価がついている銘柄のことであり、ベンチャー企業など大きな成長の可能性がある若い企業が該当します。

単に東証マザーズやJASDAQ(2022年以降は東証グロース市場)に上場しているだけでなく、テクノロジー系の銘柄、近年では例えばSaaSやクラウド関連の銘柄は大きな値上がりの実績があり、イケてる企業であることが望ましいと言えます。

話題になる要素がある

テンバガーを達成するためには、話題になる要素、わかりやすく言えば多くの人が聞いてぱっとわかるようなワードで表現できるのが理想的です。

世の中にはTwitterやTikTokなどのSNSで「バズる」という表現がありますが、テンバガーに到達するためには、まさに株式市場の世界でバズることが必要となるのです。

先ほどの例で言えば、「SaaS」や「クラウド」はかなりわかりやすいテーマですし、「AI」「DX」「フィンテック」「メタバース」などもホットなテーマになっていくでしょう。

また、もしかすると有名個人投資家が大量保有報告を出したり大株主に名を連ねるということも材料になるかもしれません。ただしこのパターンは経験的にはダブルバガー程度で終わることが多い気がします。テンバガーを狙うには上昇する前にその銘柄を発見し、株価や出来高に目立った影響が出ないように買い集めることが必要なのです。

業績が成長している

テンバガーとなるためには業績の成長を見込めるなど、一般的な優良銘柄の条件を満たすことも条件です。

いかに今風の話題のビジネスをしていようとも、売上や利益の上昇が見込まれないのであれば投資家から評価されることはありません。

また、ビジネスモデルがサブスクリプションであるなど、コストが売上に比例しない、いわゆる「収穫逓増しゅうかくていぞう」だと大きな利益成長が見込めます

逆に、あまりにも財務的に優れていると、優良銘柄として有名になってしまいテンバガーになりにくいため、もう少し言えば「業績上昇の端緒がある」という特徴がふさわしいのかもしれません。

まとめ

成功

株式投資家のロマンであるテンバガーについて、その特徴を解説してきました。テンバガーの可能性を秘めた銘柄は知られていないだけでゴロゴロとあります。あとは、それをいかに見つけ出して急成長する前に買っておくか、そしてその利益を早く利食いすぎず握り続ける、ただそれだけなのです。

多くの銘柄の中からテンバガーとなる可能性のあるものを見繕うというのは投資における銘柄発掘の醍醐味といえるでしょう。皆さまにはテンバガー銘柄の特徴について理解していただき、投資に生かすことで少しでも豊かな生活を送ることのお役に立てればと願っております。

404 NOT FOUND – Wealth Principle
全ての日本人に投資の恩恵を。