FRB理事のブレイナード氏の発言により、米国において短期と長期で逆イールドが発生したことが話題ですが、実際のところ逆イールドについてよくわからないという方も多いのではないでしょうか?
ここでは逆イールドについて紹介してみます。
逆イールドの経緯
2022年3月29日、米国で短期(2年)と長期(10年)の逆イールドが発生したことが大きな波紋を呼びました。
きっかけは、ハト派で知られているFRB理事のブレイナード氏が金融引き締めを積極的に行う旨の発言をしたことです。
この発言により金利が急騰し、特に短期の金利の上昇が顕著でした。
逆イールドとは何か?

そもそも、逆イールドとは、通常であれば長期よりも低いはずの短期の金利が、長期の金利を上回ることです。
ここでいう金利とは国債の利回りのことであり、金利が高いということは債券の価格が低くなることを意味します。
広く注目されている短期金利としては3ヶ月物ですが、実はリセッションとの関係で言えば2年または中期寄りの5年と、10年以上の年限の金利差が重要です。
逆イールドは何が問題なのでしょう?
それは、一般的に逆イールドがリセッション(不景気)の前兆であるとされるためです。
過去、米国で発生した逆イールドののち、1年以内にリセッションが訪れました。逆イールドの不況予測は米国だけでなく、世界で広く認識されており、実際に日本でもバブル崩壊時期に逆イールドが発生していました。
リセッションはこれから起こるのか?
景気循環のサイクルから言えば、いつか必ず到来するリセッション。それはいつ来るのでしょうか?
過去の例を見てみましょう。
過去7回の景気後退の前には必ずイールドカーブの逆転が起きていました。
ブルームバーグのリサーチによれば、1970年代後半以降、2年物/10年物米国債のイールドスプレッドの逆転発生日から景気後退までに要した日数は293日から1073日まで大きな幅があり、平均では627日となっています。直近では実は2019年3月22日も一瞬逆イールドのラインにタッチしましたが、それ以前の直近2回の逆イールド化は、1998年3月24日と2005年12月7日に発生しました。この2回の逆イールド発生から景気後退発生までに、前者は約3年(1073日)、後者は約2年(704日)かかっています。

リセッションがいつ到来するか、それは米国における金融引き締めに大きく関係するでしょう。
ご存知のとおり、金融政策の失敗により過剰なインフレが起きている現在では、金融緩和引き締めに向かっています。
景気循環と株式市場には以下のように株価がトップをつけたのち、少しラグがあったのち景気が下降していくという関係があります。

今日明日不景気が来るとは考えにくいですが、金融緩和が引き締められたそう遠くない将来、不景気は確実にやってくるでしょう。
リセッションに向けてどうするか?
ではリセッションに向け、株式投資はどのように行うべきでしょう?
答えは投資のスタイルにより異なります。
長期の積み立て投資であれば、止める必要はありません。むしろ不況は安く買うチャンスですから、下落時に売却したり、積み立てをやめる、ということは絶対にするべきではありません。
短期・中期のトレードが中心の方は既に前四半期の下落からポジションを調整しているでしょうが、今後はより慎重に行うべきでしょう。
「売るかどうか迷ってるんだけど...」という方はどうするべきでしょうか?
その答えはこうです。
「持ち続けられる自信のないようなポジションなんて売ってしまえ」
(おわり)