悪い円安という表現を様々なメディアで見かけるようになりました。
多くのメディアで取り上げられている一方で、その本質については、あまり語られずに批判している声もあります。
そこで、今回は「悪い円安」は何が悪いのか見ていきましょう。
円安は日本の経済にとって有利と言われていた
もともと、円安は日本の経済にとって追い風であると言われていました。
一般に、輸出産業で発展してきた日本にとって、円安になると海外から見て日本円が安くなり、日本の製品の外貨建てベース価格が下がりよく売れるようになるため、日本からの輸出という観点で見れば有利です。
「そもそもなぜ円安が進むの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。その答えは「円安に誘導していることもあるし、結果的に円安になってしまうこともある」ということです。ここ数週間の急激な円安は、長期金利上昇を指値オペで食い止めようとした結果、起きてしまった結果です。詳しくはこちらの記事もご参照ください。

その一方、円安には負の側面もあります。それこそがメディアが騒ぎ立てる「悪い円安」の正体なのです。ここからは円安のマイナスの側面について見ていきましょう。
円安のデメリット
輸入コストが上昇する
輸出する際には有利な円安は、逆に輸入する際には日本円から見て高くつくため、輸入という面からはデメリットです。
現代の日本では、様々な資源を海外からの輸入に依存しています。原油や天然ガスなど化石燃料はもちろん、工業に用いる貴金属・卑金属類も輸入しています。これらは企業活動(特に製造業)はもちろん、日常生活にとっても必須です。
それだけではありません。
食料の海外依存度も高く、大豆や小麦などは輸入品が大半です。
円安により輸入価格が上昇することは、国内製品の値上がりを通して消費者に大きな影響を与えます。
業績が圧迫される
輸入コストが高くつくことで、企業における生産のコストが高くなり、業績圧迫の原因となります。
また国内の様々な製品が値上がりによる消費者の購買意欲減退を通して、売り上げ面でも業績に影響を与えます。
消費が鈍化する
先ほど紹介したように、輸入コストは生活に必要なさまざまなモノの値上がりに繋がります。
原油価格の値上がりもありガソリン価格は急騰(日本はかなりマシな方ですが)、食料品や生活必需品も軒並み値上がりします。
生活に必要なコストが上がると、嗜好品やレジャーの消費にも影響が及び、様々な産業で消費の減少が見られ、家庭の消費活動の減衰が企業業績に悪影響を与えるという悪循環が生じます。
まとめ
ここではマーケットに携わるなら理解しておきたい円安について紹介してみました。現代では為替や原油価格なども含めてマーケットの動きは私たちの生活に大きく影響するものです。
皆さまにはマーケットの動きについて理解していただき、投資に生かすことで少しでも豊かな生活を送ることのお役に立てればと願っております。
