[米国株投資]エヌビディア(NVIDIA)徹底解剖!ビジネスモデル・財務状況・将来性は?[半導体]

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米国の半導体メーカー大手企業のエヌビディアは、世界中の半導体の需要の高まりにより大きな成長を見せ注目されています。

当初はコンピュータに搭載されるGPUを専門としていましたが、近年はAIや自動運転に応用するため、GPUを汎用計算用途に拡張したGPGPUの設計に特化しています。

GPUは暗号資産(仮想通貨)のマイニング計算にも多用されており、エヌビディアの業績と大きく関係しています。

この記事では、エヌビディアの特徴と成長の可能性を見ていきます。

エヌビディア(NVIDIA)の概要

nvidia
  1. 社名:NVIDIA Corporation
  2. 上場:NASDAQ(Ticker: NVDA)
  3. 本社:アメリカ カリフォルニア州サントクララ
  4. 設立:1993年4月5日
  5. セクター:情報技術
  6. 産業:半導体

エヌビディアは1993年に設立され最初の製品「NV1」を世の中に送り出して以来、長年にわたりGPUに特化したビジネスに取り組んできました。当時は今で知らない人がいないであろうWindowsも対応しておらず、ゲームソフトであるセガの「バーチャルファイター」などで活用される程度でした。

業界大手となったのは1997年、新商品として発表した低価格かつパワフルなGPU「RIVA 128」が広く採用されたことで、グラフィックチップ界の技術的筆頭メーカーに躍り出ました。

ビジネスモデル

エヌビディアのコアビジネスは2000年代中盤ごろを境に変化しています。

2000年代前半まで、エヌビディアは一般向けパソコンに搭載されるGeForceや、ワークステーションに搭載されるQuadro等のGPUでよく知られており、GPU開発に特化したビジネスを行なってきました。

実際にはもう少し広い範囲でビジネスを行っており、マイクロソフトと共同開発したXboxを2001年末の北米でのクリスマス商戦に投入しました。また、2004年12月7日にはソニー・コンピュータエンタテインメント (SCEI) とPlayStation3用のGPU (RSX) を共同開発することを正式発表しました。このように高機能ゲーム機において採用されるほど、当時からGPU業界で筆頭とも言える存在だったと言えます。

そして2006年11月、GPGPUソフトウェア開発基盤「CUDA」を発表しました。CUDAとは、NVIDIAが開発・提供しているGPU向けの汎用並列コンピューティングプラットフォーム(並列コンピューティングアーキテクチャ)およびプログラミングモデルのことです。もともとGPUは高機能でありながらグラフィック機能以外での用途への転用が難しかったのですが、その高い処理性能をグラフィックス以外にも活用できるようにしたのがCUDAという技術です。

CUDAの発表以降、エヌビディアはGPU開発を行いながらも、コアビジネスや開発リソースをGPGPU、SoCに移行しています。これらはNVIDIA TealsやNVIDIA Tegra等の製品に応用されており、前者はシミュレーションや大規模な計算(特に浮動小数点演算)、高品質の画像生成などの分野で活用され、後者はスマートフォンやタブレット型コンピュータ、Nintendo Switch、nVidia Shield(TV)、自動車のインフォテインメントシステムなど家庭用機器で幅広く使われています。ちなみに自動車の自動運転分野では、ベンツやBMW、テスラ、トヨタなどと提携しています。トヨタは半導体不足の件で減産することがニュースになりましたね。

エヌビディアと仮想通貨

近年、半導体不足が叫ばれている中で見逃せないのが、暗号資産(仮想通貨)です。仮想通貨は様々な分野に登場しますが、エヌビディアの業績にも影響があります。

仮想通貨では取引の承認に複雑な計算を行うことが必要で、その取引の計算に「報酬」が支払われるマイニングというものが存在します。このマイニングに高機能なGPUが非常によく使われているのです。

仮想通貨のマイニングというと何やら難しさそうな作業ですが、要は何台もの大量のGPUをつなげたコンピュータを動かし続けるという作業です。マイニングでは大量の計算をこなせばこなすほど報酬が得られますから、大規模にマイニングを行っているマイナーは多少割高でも大量に高性能なGPUを買い占め、マイニングを行います。そのため、一時期は高性能GPUは店頭やネットショップから消え、店頭での価格が高騰するとともに超高額で転売されるなど入手が非常に困難でした。

この影響でコンピュータ用のGPUはもちろん、GPGPU・SoCに用いる半導体も世界中で不足し、様々な業界でサプライチェーンが混乱する要因となりました。

さすがにこの事態を重く見たNVIDIAは対策を検討し、マイニングで用いられる特異なアルゴリズムを検出し計算処理能力を意図的に低下させる、いわゆるLHR(Lite Hash Rate)版を開発することで、家庭用コンピュータ向けGPUは再び店頭で見かけるようになりました。しかし、マイニング以外でもシミュレーションやAIに用いられる高性能GPUや省電力統合型プロセッサは世界中でニーズがあり、半導体不足が解決されたとは言い難いのが現状です。

財務状況

一時は時価総額が500億ドルを超えたエヌビディアですが、直近の決算状況はどうでしょうか?

決算を見てみると、2020年末には売上高65億0700万ドル、営業利益24億4400万ドル、純利益34億7400万ドル、純資産28億7910万ドル(負債、転換社債転換債務および株主資本合計)と、超一流企業の決算書です。2021年末の株価は294.11ドルで発行済株式数は25億株でしたから、EPSは1.39、PERはおよそ212です。PERだけ見れば超割高です。

財務面から見るエヌビディアの特徴は、流動比率の低さです。業績を見る限り同社の財務比率に悪化の兆候があるわけではないのですが、より安全なマージンを確保するためキャッシュフローがあると望ましいです。しかし流動比率の低さは言い換えれば資金を効率的に回していることにつながるため、必ずしも悪いと言えるものではないですね。

株価の推移

ここでは実際にエヌビディアの株価を見てみましょう。

御多分に洩れずという感じですが、2022年に入りNVIDIAの株価は大きく下落しています。

一般的にはNVIDIAはグロース株とされ、株価は情報技術全体と連動した動きを示す特徴があります。2022年にはFRBによる利上げが予定されておりかなりの株価調整が見込まれ、実際2022年1月の最初のたった2週間で-8.4%、Netflixショックのあった3週目が終わると-20.5%という大きな下落を見せています。

また2021年から2022年にかけ、NVIDIAはソフトバンクグループからArm社の買収を模索していましたが、2022年1月25日(米国現地時間)に断念する旨を発表しました。チップメーカーであるArmはQualcommやIntelなどの大手チップ企業ほど名前が知られているわけではないのですが、Armが設計したプロセッサーは世界中の多くのスマートフォンに搭載されています。NVIDIAの発表によれば、買収断念の理由として各国の規制当局からの承認を受けるのが難しい点(独占禁止法に関する論点)をあげています。この日、NVIDIAの株価は-4.48%とSP500の-1.22%と比較しても大きく下落しました。

将来性

エヌビディアの将来性を占う重要な要素が2つあります。その2つとは、「半導体不足の解消」と「ビジネスの先行き」です。

というのも、先ほど出てきたように世界中で半導体はまだ供給が足りているという状況にはなっておらず、GPU・GPGPU・SoCの価格上昇に転嫁されているとは、売上高に影響します。今後も半導体不足が続くと、供給数量の限界を通してボディブローのように効いてくることになります。

もうひとつのポイントは、よりビジネス的な側面です。今でもGPGPU・SoCなどに使われていますが、今後の動向は流動的です。高性能処理という側面では現在研究されている量子コンピュータが普及すれば一気にGPUを駆逐することになるでしょうし、SoCについてもIntel、AMD、TSMCなど他社の動きによってはシェアを削がれることになります。

2023年、世の中はChatGPTをはじめ「生成系AI」ブームに沸き立ちました。実は生成系AIでは機械学習のひとつであるニューラルネットワークを利用しており、その計算には大量のGPUが不可欠です。GPUにはいくつかブランド・メーカーがありますが、ニューラルネットワークの最適化に広く使われているGPUとして対応しているのはNVIDIA製品なのです。これによりNVIDIAの株価は大きく上昇し、2023年6月には上場来高値をつけました。

NVIDIAが今後も競争力を維持するためには、様々な業界との連携や新商品の開発が必要となることは説明するまでもないでしょう。

エヌビディアへ投資するには?

エヌビディアに投資するのであればいくつかの方法が考えられます。ひとつはエヌビディアへ多く投資するようなファンドへ投資すること、もうひとつは個別株としてエヌビディアへ投資することです。

ファンドといってもベンチマーク以上のパフォーマンスを狙うアクティブ運用ではなく、NASDAQ100指数に連動するファンド(米国ETFであればQQQなど)がよいでしょう。

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もし個別株を購入するのであれば、証券会社で口座が必要となります。最近では多くの証券会社が海外株式や海外ETFを取り扱うようになってきており、手数料で優劣がかなりはっきりするようになってきました。手数料を比較して実際にどの証券会社を使うか検討してみるとよいでしょう。

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まとめ

ここではエヌビディアの企業としての特徴や将来性について紹介してみました。今では私たちの生活に欠かせないものになった企業であり、今後もその成長性が見込まれます。

皆さまには世界を代表する米国企業について理解していただき、投資に生かすことで少しでも豊かな生活を送ることのお役に立てればと願っております。