NASDAQ100への投資はQQQ・eMAXIS・2631のどれがよいのか?

株式・債券

米国株投資を知っている方にとって、投資先としてのNASDAQ100はあまりにも有名です。

一口にNASDAQ100へ投資するといっても様々な方法があり、何も考えずに投資しているという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ここでは様々なNASDAQ100に連動するファンドについて比較し、どれを選ぶべきなのか考えてみます。

今回改めて比較してみたことで私も初めて知ったこともあり、きっと新たな発見があると思いますので、ぜひ最後までお読みくださいね。

NASDAQ100への投資は米国株投資の醍醐味

まず、NASDAQ100への投資について改めて復習してみましょう。

NASDAQ100インデックスに連動するリターンを得られるファンドに投資することで、NASDAQ100のリターンに連動する投資効果を目指すもの

正確に言うと、NASDAQ100とは株価指数(インデックス)のことであり、NASDAQ100を購入するなどの方法で直接投資することはできません。代わりにNASDAQ100指数のリターンに連動するファンドへ投資することで、NASDAQ100と同等の投資リターンを得るというのが、いわゆる「NASDAQ100に投資する」と言われるものですね。

NASDAQ100は米国の株式市場のひとつであるNASDAQに上場している約100銘柄から構成されるのですが、NASDAQに上場している企業の時価総額のうち約70%を占め、情報技術セクターの銘柄が中心であり成長性を重視する投資家に人気な投資先であります。

NASDAQ100チャート
NASDAQ100チャート

一般的に米国株は世界中の他の国の株式マーケットと比べて成長が著しく、GAFAMに代表される世界の大企業が上場していることから、投資対象として人気が非常に高いです。正直、米国株の上昇を見てしまうと圧倒されてしまい、日本株へ長期投資することに疑問を感じてしまうほどです。

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ここからは実際の投資する方法について見ていきましょう。

NASDAQ100へ投資する方法は大きく分けて3つある

NASDAQ100へ投資するのであれば、大きく3つの方法があります。

その3つとは、投資信託を使った方法、国内ETFを使った方法、米国ETFを使った方法です。

それぞれ多くの運用会社がNASDAQ100に連動する商品を出しているのですが、その中でも投資する価値のある銘柄は、投資信託であればeMAXIS、国内ETFであればMAXISナスダック100上場投信(コードは2631)、米国ETFであればInvesco QQQ Trust Series 1(TickerコードはQQQ)が選ばれるでしょう。

詳しくはご自分で調べていただいてもよいのですが、ここでは割愛します。例えば、国内ETFとして東証に上場しているもののリストはこちらにあるので、もしご興味があれば比較してみてください。

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「ETFって上場投資信託のことなんだから、投資信託と同じなのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、実は非常に重要な違いがあります。その違いとは、①ETFはマーケットが開いている時間にリアルタイムで取引できる、②上場しているので売買手数料が原則かかる、③ETFでは分配金を再投資するには原則自分で行う必要がある、という点です。後ほどまた出てきますが、③の分配金については特に長期投資を行う上で重要な違いであり、分配金を受け取る時の税金などもポイントになります。

先ほど紹介した3銘柄について具体的に比較していきましょう。

eMAXIS
NASDAQ 100
インデックス
MAXIS
ナスダック100
上場投信
Invesco
QQQ Trust
Series 1
運用会社 三菱UFJ国際投信 三菱UFJ国際投信 Invesco
区分 投資信託 ETF(上場投資信託) ETF(上場投資信託)
上場の有無 非上場 上場
(東証、2631)
上場
(NYSE Arca、QQQ)
設定日 2021/01/29 2021/02/24 1999/10/03
信託報酬 0.44%以内(税込) 0.22%以内(税込) 0.20%(※経費率)
その他費用 詳細は非開示 上場料0.00825%、
指数利用料0.08% など
詳細は非開示
分配時期 1月(※分配実績なし) 6・12月 3・6・9・12月
NISA ○(※10%の現地課税あり)
つみたてNISA × ×
iDeCo × ×

色々違う点をまとめてみましたが、みなさんが気になるのは、ファンドに支払う報酬・売買手数料・税金のいわゆるコストでしょう。これはしっかり比較してみると結構複雑です。

まず、投資信託であるeMAXISは一番シンプルです。買付や売却に売買手数料はかかりません。これまで分配金を出した実績がなく、ファンド内で勝手に再投資されますので、税金がかかるのは売却で利益が出た時のみです。NISA・つみたてNISA・iDeCoの全てに対応しており、これらの口座で投資する分には税金はかかりません。

次に、国内ETFである2631です。上場しているため、買付や売却のときに証券会社へ支払う売買手数料がかかります。定期的(2631では年2回)に分配金を出しており、分配金には必ず課税されます。また、売却時の利益に対しても課税されます。ただし、NISA口座で保有している分については分配金・売却時の利益に税金はかかりません。

証券会社によっては、「国内ETFの売買でが手数料がかからない」「NISA口座で保有する場合には売買手数料がかからない」という料金体系となっている場合があり、確認しておくとよいでしょう。

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そして、米国ETFであるQQQです。証券会社によるのですが、売買手数料や米ドルで買い付けるための為替手数料がかかります。定期的(年4回)に分配金を出しており、分配金には必ず課税されます。また、売却時の利益に対しても課税されます。NISA口座で保有している場合、国内で課税はされませんが現地分として10%課税されます。非NISA口座では米国と日本で合わせて20.315%課税されます。

ぶっちゃけ複雑すぎるので、シンプルに考えよう

ここまで見てわかるように、どのようなケースを考えるかによりそれぞれかかるコストが変わってくるので、真面目に細かく考えると非常に複雑です。

ただ、その影響でいえば、もっともシンプルなeMAXISの信託報酬とQQQの経費率では年間0.24%の差が出ます。もし100万円投資していれば、その差額は2400円、これをどう感じるかは人それぞれですが、少なくても他の投資商品の超割高なコストと比べれば許容できる水準です。

ここで紹介したファンドはどれもコストが低い優良商品ですから、できるだけシンプルに考えてみるようにしましょう。

まず、多くの人にはQQQをおすすめできません。ファンドのコストである経費率はNASDAQ100連動のファンドの中では低いのですが、為替手数料や売買手数料が必要で、海外ETFでは二重課税を防ぐために確定申告手続きが必要など、手間がかかるのです。もし、米国株に積極的に投資しているなど、外貨として米ドルをたくさん持っているのであればQQQを選んでもよいでしょう。

国内ETFとして、あえて2631を選ぶべき理由としては、信託報酬が投資信託の半分でありコストがどうしても気になるという方、または分配金をインカムゲインとして手元に残したいという場合です。NISA口座で買い付ければ分配金へ課税されませんから、生活資金に回すなり、別の個別株の投資に使うなり、その使い道は自由です。ただし、NASDAQ100の組み入れ銘柄は配当よりも株価成長性を重視しているため、年によって異なりますが、QQQの分配金利回りは年0.5%程度とそれほど期待してはいけません。

多くの人にとってもっとも手軽なのはeMAXISです。売買手数料がかからず、分配金がファンドの中で再投資され、もし分配金支払いが発生したとしても証券会社で自動的に再投資するよう設定できるため、もっとも手間がかかりません。また、つみたてNISAやiDeCoに対応しているのは投資信託のみです。

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投資信託は本当にeMAXISがもっともよいのか?

ここまで読んできた方の中には、投資信託は本当にeMAXISがよいのか?という疑問があると思います。実際、私も投資信託をおすすめするときには三菱UFJ国際投信の商品をおすすめすることが多いので、疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

ここではシンプルに表にまとめてみます。

eMAXIS
NASDAQ 100
インデックス
iFreeNEXT
NASDAQ100
インデックス
NZAM・ベータ
NASDAQ100
NASDAQ100
インデックス
運用会社 三菱UFJ国際投信 大和
アセットマネジメント
農林中金全共連
アセットマネジメント
PayPay
アセットマネジメント
設定日 2021/01/29 2018/08/31 2020/03/13 2021/06/29
購入時手数料 なし なし なし なし
信託報酬 0.44%以内(税込) 0.495%以内(税込) 0.44%以内(税込) 0.418%以内(税込)
信託財産留保額 なし なし なし なし
その他費用 詳細は非開示 詳細は非開示 監査費用0.0033%(税込) 詳細は非開示
分配時期 1月(※分配実績なし) 8月(※分配実績なし) 2月(※分配実績なし) 6月(※分配実績なし)

一見すると、MAXISよりもPayPayアセットマネジメントの商品の方が信託報酬は低いですが、それでもeMAXISの方が優れると私は考えます。それはなぜでしょう?

実はPayPayアセットマネジメントや大和アセットマネジメントの商品では、直接米国株式へ投資するだけでなく、米国ETFであるQQQを通して米国株式へ投資する可能性があります。この場合、QQQの中でも信託報酬等の経費が発生するほか、QQQからの分配金は現地で課税されファンド内で再投資されることで再投資効率が低下し、NASDAQ100のパフォーマンスから乖離する可能性があります。

また、コスト面では一見するとNZAMでも同じように見えますが、実はNZAMのファンドはNASDAQ100からパフォーマンスの乖離が大きく、あまりおすすめできません。乖離の要因としては、NZAMはファンド設定からの期間の割にファンドの規模が大きくなっておらず、ファンド運用の効率が設定時から大きく改善していない、という点が考えられます。

そのため、投資信託でNASDAQ100連動のファンドを選ぶのであれば、単純なコストだけでなくQQQへの投資可能性まで加味した上で、eMAXISの方が優れると考えられます。

(2023/3/31追記)業界激震!?ニッセイAMから素晴らしい投信が登場!

2023年3月までは上記の通りでしたが、2023年3月31日に新規設定されたニッセイアセットマネジメントの「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」は、信託報酬がなんと0.2035%(税込)と、eMAXISよりも低コストです。

設定時点から間がなく残高は大きくないためインデックスとの乖離は気になるところですが、インデックス自体の人気の高さから資金が集まると期待され、大きな問題とはならないでしょう。もちろん購入時手数料・信託財産留保額はなし、その他の費用として監査費用が0.0011%(税込)と明示されている点も高評価。決算は毎年9月20日、分配は年1回です(実際には分配金が支払われずファンド内で再投資される可能性があります)。

国内投資信託でNASDAQ100への連動を目指す投資を行うのであれば、ニッセイアセットマネジメントのファンドが一番の選択肢と言えますね。

国内ETFについても比較

もう少しだけ頑張って、国内ETFについても表にまとめてみました。為替ヘッジなしのファンドだけ並べてみます。

MAXIS
ナスダック100
上場投信
NEXT FUNDS
NASDAQ-100
連動型上場投信
上場インデックスファンド
米国株式(NASDAQ100)
為替ヘッジなし
iFreeETF
NASDAQ100
(為替ヘッジなし)
運用会社 三菱UFJ国際投信 野村
アセットマネジメント
日興
アセットマネジメント
大和
アセットマネジメント
証券コード 2631 1545 2568 2840
購入単位 1口 1口 1口 1口
設定日 2021/02/24 2010/08/13 2020/09/17 2022/01/31
購入時手数料 なし なし なし なし
信託報酬 0.22%以内(税込) 0.22%以内(税込) 0.275%以内(税込) 0.22%以内(税込)
信託財産留保額 なし 0.1% なし なし
その他費用 上場料0.00825%、
指数利用料0.08% など
上場料0.00825%、
指数利用料0.08% など
諸費用として上限0.1% 上場料0.00825%、
指数利用料0.08% など
分配時期 6・12月 8月 1・7月 3・9月

野村アセットマネジメントのNEXT FUNDSは古いファンドであり、購入時に実質0.1%手数料がかかるのが気になります(投資家が板で買う場合には手数料がかかりません)。今でこそ信託報酬が横並びですが、実はMAXISが登場したために信託報酬を年0.495%(税込)に下げた経緯があり、個人的にはこの殿様商売スタイルがあまり好きではありません。日興アセットマネジメントは信託報酬が明らかに他より高いですね。大和アセットマネジメントのiFreeはかなり新しいファンドでありこれからに注目ですが、三菱UFJ国際投信のMAXISと比べ明らかな優位性は見受けられません。

業界ではコスト競争が激しいため今後は信託報酬引き下げの可能性もありますが、現状ではMAXISを選んでおけば間違いないと言えそうですね。

まとめ

資産形成

これまでの比較から結果をまとめてみます。結果はシンプルです。

・米国の個別銘柄にも投資しており、色々な手間がかかってもよいという方 → QQQがおすすめ!

・分配金は日本円で受け取っておきたいという方 → 2631がおすすめ!

・余計な手間を省き、手軽に投資したいという方(つみたてNISAやiDeCo利用の場合も!) → eMAXISニッセイアセットマネジメントのファンドがおすすめ!

このように、同じNASDAQ100に連動する投資成果を狙うといっても、同じような商品に見えて少しずつ結果が異なるというのが投資における方法選びの醍醐味といえるでしょう。皆さまには投資商品について理解していただき、投資に生かすことで少しでも豊かな生活を送ることのお役に立てればと願っております。