「暗号資産(仮想通貨)のマイニングがまた流行っているけど、どうなの?」
サラリーマンから独立した人の中でもマイニングのことは話題になります。
実はマイニング自体はパソコンがあれば誰でも簡単にできるのですが、問題になるのは「収益が出るのか?」という点です。
この記事では専業トレーダーが実際に興味本位でマイニングにチャレンジしてみたので、紹介していきます。
結論:1年半ちょっとの期間続ければマイニングで利益は出る
まず、私の目算では仮想通貨のマイニングで利益は出ます。
その計算の前提は以下の通りです。一番利益が出やすいと言われているイーサリアムを例にして計算すると、
- 今回マイニングする通貨はイーサリアム(ETH)で約230,000円/ETH
- マイニング端末の費用は175,000円(税込)、ハッシュレートは44MH/s
- マイニング効率は0.0019ETH/日、使用電力は0.2kW/h
- マイニングソフトの利用費用は0.65%
- 電気代は1kWhにつき31円(税込)
この仮定のもと、24時間マイニングを続けて収益分岐点となる稼働日数をT日とすると、収益分岐点の方程式は左辺を収益・右辺を費用として
0.0019 * T * 230,000 = 175,000 + 0.0019 * T * 230,000 * 0.0065 + 0.2 * 24 * 31 * T
この式を解くとT = 596(Days)つまり約1.63年となり、1年半ちょっと続けると利益が出る計算になります。大体1.13ETH(260,000円相当)マイニングすることになります。
この計算がブレる要因としては、以下の点が考えられます。
- イーサリアム相場の変化
- マイニング難易度の変化
- 電気代の変化
- 実際には24時間稼働が難しい
- マイニング機器の故障
ここからはマイニングの概要や、実際に私が使っている端末を紹介していきます。
今回用意した端末の紹介
一般的にマイニングを行うための端末は自作PCです。これはPCパーツの中でも必要とされる性能はグラフィックボードのみに絞られるということでマイニングに特化した構成が最もコストパフォーマンスが高いためです。
重要度の高いパーツから順に紹介していきましょう。
グラフィックボード

GPUマイニングにおいて最も重要なパーツがグラフィックボードです。
グラフィックボードの性能でマイニング効率が大きく変わります。もちろん、性能が高いほど効率が良いです。
マイニング専用に組み上げる端末では複数のグラフィックボードを接続することが前提となります。手持ちのものを使うことも可能ですが、あまりにも性能差があるものを同時に接続すると総合的に効率が低下します。
また、グラフィックボードはNVIDIAの「GeForce」とAMDの「Radeon」の2系統に分かれますが、これらを組み合わせてしまうと動作が不安定になることが多く、どちらかで揃える方が望ましいです。マイニング効率を考えるとGeForce系統で揃えるのが良いでしょう。
私が今回使用したのは「GeForce RTX 3060」というものです。実はマイニングブームによりグラフィックボードが枯渇したため、NVIDIAはGeForce RTX 3060ではイーサリアムをマイニングするための特異な動作を検出し、意図的にマイニング性能を下げるためのリミッターを施しました。
しかし、NVIDIAは公式ページにてこのマイニング性能を下げるリミッターを解除するための開発者用ドライバー(470.05)を配布してしまいました。公式ページでは既に削除されましたが、既にコピーが出回っており、少し探せば入手することができます(利用はご自身の責任でお願いします)。私の方でもドライバーを適用した上でディスプレイを接続することで、ハッシュレートが約2倍になることを確認できました。(つまりリミッターでは性能が半減されていたことになります)
マザーボード

マザーボードの種類により、接続可能なグラフィックカードの数が決まります。
一般的なマザーボードでは接続できるグラフィックカードは2〜4個程度ですが、上の写真のようにマイニングに特化したマザーボードでは10個以上を接続することが可能です。
ちなみにマザーボードの種類によって使用可能なCPUの世代も変わってきます。CPUは安くて性能が低いものでも問題ありませんが、マザーボードとの相性には注意が必要です。
マイニング以外の用途も考えているのであれば、通常のマザーボードの方が安価なので用途はよく考えておくと良いですね。
ライザーカード

複数のグラフィックボードをマザーボードに接続するためには、ライザーカードを使うことが必要です。
ライザーカードを使う上で注意点が2つあります。
1点目は電源との接続をSATAケーブルで行ってはいけないということです。補助電源のないグラフィックボードの場合、一般的に75W程度給電する必要があります。しかしSATAケーブルは許容電流が54Wであり、グラフィックボードと接続してしまうと過電流になり、最悪の場合、火災の原因となります。
2点目は電源との接続はPCI Express(PCI-E)ケーブルを使う時も、1ケーブルに対して1グラフィックボードのみを接続するということです。ご存知の方も多いと思いますが、PCI-Eケーブルは実は片端に2つ接続するためのアダプターが存在しますので、原理的には1つのケーブルで2つのグラフィックボードを電源に接続することが可能です。PCI-Eの8pinタイプは150Wまで流せるのですが、多くの場合75Wまで流せる6pinで接続しますので過電流の懸念があります。
それなりに性能の高いものを作るなら、ライザーカードも複数本必要になりますので、まとめて購入すると良いでしょう。
PCケース

マイニング専用の端末にするか、一般的なパソコンとしても使うかを選ぶ必要がある最も大きな理由は、PCのケースをどうするかという点にあります。
一般的なパソコンであれば、デスクトップ型の直方体型のPCケースを選ぶので問題ないでしょう。しかし、グラフィックボードを3台以上積もうと考えると普通のPCケースに収めるには配線が複雑になっていますので、専用のラック型のものを利用することも選択肢となってきます。
いずれにしろ、発熱したグラフィックボードを冷却させる対処は考える必要がありますので、ファンが接続されているものを選ぶのが良いと思います。
ちなみに私は発熱したグラフィックボードを冷却するため、室内用のサーキュレーターの風を直接当てるようにしています。それくらい発熱が問題になってきます。
電源

マイニングには電力を大量に使うため、収益性を上げるには電源選びも重要になってきます。
一般的には電源効率が90%のものでも十分すぎる程度なのですが、マイニングはとにかく電気を使うため、電源効率92%以上のものを選びたいものです。
また、グラフィックカードを接続するとかなり大きな容量の電源が必要になります。できれば1,200Wのものを選びたいものですが、お住まいの電気事情によって使えるワット数は変わってきますから、とりあえず1,000W以上のものを選んでおきましょう。
接続できるケーブルの数も重要です。
マイニングが流行っているせいか、電源効率が高い電源も品薄が目立つようになってきました。
メモリ

このあたりからマイニング端末としてはパーツの重要性が下がってきます。メモリについてはWindows10がちゃんと動く程度であれば問題ありません。
Windows10はメモリが8GBあれば動くらしいのですが、最近はメモリの値段も下がってきているので、8GB × 2の構成としておくのが良いと思います。
16GBは若干お高いので、8GB × 2で十分です。
CPU

マイニング端末であれば、CPUもそれほどこだわる必要はありません。
1点注意としておくとすれば、CPUにはマザーボードとの相性があり、世代が大きく異なるとCPUを読み込めないことが出てきます。
Amazonのレビューを見れば世代数がわかるので、マザーボードとの相性も判断できるでしょう。
また、CPUにはグラフィック機能も付いているものがありますが、CPUのグラフィックは知れているので不要です。
必然的にCPUも安価なのものを選ぶことになります。
記憶ディスク

記憶ディスクもそれほどこだわる必要はありません。
マイニングを行う上で記憶容量を大きくする必要はありませんので、使いやすいものを選べばOKです。
もし新しく買うのであれば、256GB程度のSSDで良いでしょう。起動が早くて快適に使うことができます。
最近はSSDも安くなってきたので、あまり問題にはなりません。
OS

OSもそれほど悩まずに選べばOKです。
一応、マイニング専用のLinuxベースのOSも存在するのですが、操作が独特で使いにくいらしく、あまりおすすめできません。
普通にWindows10を選べば良いでしょう。リーズナブルなHome Editionで問題ありません。
まとめ
ここでは専業トレーダーの私が実際に仮想通貨のマイニングにチャレンジした結果を紹介してきました。
シミュレーションではマイニングを行うことである程度の利益が出るということがわかりましたが、その収益はそれなりに続ける必要があり、もしパーツが余っているのであればチャレンジしてみるのが良いのではないかと思います。
マイニングを検討している方の役に立つと幸いです。