東証再編初日、投資にあたり新市場区分で注目すべきポイントは?

株式・債券

2022年4月4日、東証再編による新市場区分が開始される初日、マーケットはどうなるか?

ここでは市場再編初日を迎えたということで、新市場区分の概要について改めて振り返ってみる。

東証の新市場区分

2022年4月4日、ついに東証の新市場区分がスタートする。

東証新市場区分
東証新市場区分

変更の概要としては、東証一部・二部、JASDAQ、マザーズと分かれていた旧区分に対して、新区分はプライム・スタンダード・グロースの3つに変更される。

これまで東証一部に上場していても日々の出来高が少なく流動性が著しく低い問題のある銘柄は、もっとも高位の市場であるプライムの要件を満たすことが難しくなり、スタンダードの区分で上場することになる。

また、旧区分では棲み分けが不明だった新興市場がグロースに統一されたことで、投資家から見た市場の位置づけを明確にするという狙いもある。

新市場区分の評価

再編される新市場が開始するところ、投資家の間で評価は分かれる。

「最上位の市場であるプライムに上場する企業の数は再編時点で1,839社もあり、依然多すぎる」という声は大きい。実際、再編時点での各市場の上場企業数はプライムで1,839社、スタンダードで1,466社、グロースで466社にもなる。プライムへの移行は東証一部上場企業の8割が該当する。

上場企業の半分近くがプライム市場となるわけだが、これでは市場それぞれの役割を果たすとは考えにくい。

実は、今回の再編にあたりプライム企業の絞り込みは十分に進んでいない。東証はプライム上場の基準を満たさなくても達成に向けた計画書を出せばプライムへ移行できるという恩情措置を設けたためだ。プライム上場企業の2割弱にあたる295社がこの適用を受けている状況にある。

収益力という観点では、プライム上場企業の売上高純利益率は6.0%であり、東証一部上場時代(売上高純利益率は6.0%)とほぼ変わらない。

企業から見れば、最上位市場であるプライムへの上場は、企業としてのステータスであるだけでなく、日本株式マーケットへの資金流入の恩恵を受けやすくなるメリットがある。多少無理をしてでも、要件を満たしてプライムを選びたいというのが本音であろう。

本日の再編初日にあたり、まずはトラブルなく終わるかという点、各市場の状況は必ずチェックするようにしておきたい。

注目のポイント

注目すべきポイントとして、まずは市場を移行する銘柄の動向だ。

これまで東証一部に上場していた企業のうち、338社はプライム市場ではなくスタンダード市場へ移行する。悪く言えば格下げとなるわけだが、再編そのものの影響はそれほど大きくないと予想される。

というのも、これまで算出されてきたTOPIX自体は今後も当面の間は算出される。投資信託やETFなどパッシブ運用のファンドからすれば、TOPIXへ連動する方針を続ける限り、スタンダード市場へ移行したからといってすぐに売却されるとは考えにくい。

逆に市場区分の格上げとなるような銘柄も存在する。

マザーズからスタンダードへの移行は、ASP大手であるインタースペース(2122)の1社のみ。

JASDAQからスタンダードへの移行となる企業は651社あり、有名どころとしてはコスモ・バイオ(3386)、オールアバウト(2454)、小僧寿し(9973)など。思わぬ恩恵を受けられる銘柄がないか、ぜひチェックしておきたい。