テレビやYouTubeでよく見る、あのCM──。
斎藤工さんが登場し様々な景色を駆け抜けていくのを最後まで見ていると、「IG証券」という聞き慣れない証券会社のCMだということがわかります。
確かに、投資が未来を変えるものであるという趣旨のキャッチフレーズは私も共感できるものなのですが、実際のところIG証券ってどうなんでしょう?
この記事では、専業トレーダーがIG証券について語ってみます。
IG証券とは?
まずはIG証券という会社の概要から見てみました。
- 商号:IG証券株式会社(英語表記:IG Securities Limited)
- 本社:〒106-6026 東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワー26F
- 創立:2002(平成14)年12月3日
- 資本金:1億円
- 主要取引銀行:三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行
- 株主:Fox Sub 2 Limited(IG Group Holdings 100%子会社)100%
IG証券は、イギリスのロンドンに本拠地を構え45年以上の歴史(設立は1974年)を持つ金融サービスプロバイダー「IGグループ」の日本拠点です。日本では2002年からサービスを提供しています。
会社の概要でかなり気になる点は、会社にとって元手である資本金が1億円であり、金額がかなり小さいという点です。証券会社では主要大手やネット証券をはじめ、資本金が数十億〜千億円規模が通常です。この理由のひとつは業界での「自己資本規制比率」に関する規制であり、これは証券会社のバランスシート上の健全性を示すものであるがために、ある比率を下回ると金融商品取引法等に基づき金融庁への届出等の対応が必要となり、最悪事業を停止することになります。ではなぜIG証券が資本金1億円で問題ないかと言えば、親会社であるIGグループは潤沢な資本を保有し、有利子負債ゼロで健全なバランスシートを維持しているという理由が挙げられます。この点は公式HPでも紹介されており、問題はないと言えるでしょう。
他には、顧客からの預かり資金を三井住友銀行の専用信託口座で分別管理しており「信託保全」が行われている点、金融商品取引業者として関東財務局に登録されており「金融庁より認可」を受けているなど、日本のルールに従いサービスを提供している点は非常に重要です。海外業者では顧客保護の基準が異なるなどの理由から、トラブル時に顧客不利な裁定となることもしばしば見受けられるためです。
こういった会社の概要を軽視する方もいますが、平成不況で当時破綻した準大手の「三洋証券」や四大証券の一角だった「山一證券」などの例を考えれば、利用を検討するにあたり会社の状況を把握することはとても重要です。
ここからは実際のサービス内容を見てみます。
IG証券の提供しているサービスは?
IG証券といえば、差金決済取引(以下、CFD取引)とバイナリーオプション取引が有名です。
最初に言っておくと、健全な投資家ならバイナリーオプションが投資対象となることはまずないでしょう。ある瞬間において価格が上がるか下がるかを予想するバイナリーオプションはまさに博打であり、これで勝ち続けることは期待できません。トレーダーと言えど、私はそんな勝てるか負けるかの半丁博打はご免ですから詳しくは紹介できません。あえて言えば、もしバイナリーオプションを行うのであれば、日本で認可を受けているIG証券でやるのがいいんじゃないでしょうか?
IG証券のCFD取引には圧倒的なメリットがあります。それはCFD取引できる銘柄が群を抜いている点であり、その数は1万銘柄を超えます。日本で認可されている他社でこの数に追随できるところはありません。
その内訳は、外国株式現物に対するCFD銘柄の多さに起因します。グローバルグループの一角であるIG証券では、海外マーケットとのチャネルが充実しているということもあり、外国株式のCFD銘柄数だけで1万を超えます。他には日本株でも日経平均株価の算出に採用されているような主要銘柄であれば取り扱われており、CFD取引ではIG証券一択と言っても過言ではありません。
また、これはCFDの取引に限らないのですが、IG証券は「ノースリッページ注文」をアピールしています。ノースリッページ注文とは「ポジション決済専用の逆指値注文」のことです。通常の逆指値注文は指定の価格に到達した段階で成行注文が行われるため、価格を指定しても指定価格通りに約定しない可能性があります。一方、IG証券ではノースリッページ注文で100%指定の価格で注文できることを謳っており、相場の急変時に逆指値がワークしないなど、予想外の損失を回避できる可能性が非常に高いと言えます。
他には、取り扱っている取引として、株式・株価指数・外国為替証拠金取引・商品先物・CFD・バイナリーオプションと一通り揃っています。ただ、株式現物については他の証券会社の方がサービス面で魅力があり、あえてIG証券を選ぶことはないと言えるでしょう。
使いやすさはどうなのか?
CFD
CFDのサービスについては先ほど紹介したように、他の国内業者が追随することを許さない、豊富な銘柄数が強みです。
逆に他の業者(例えばGMOクリック証券など)と比べたデメリットはレバレッジありの株価指数CFDはあまり充実していないという点です。とはいえ主要国の指数はレバレッジ取引できますから、レバレッジ銘柄の数でIG証券のCFDに関する評価が変わることはないでしょう。
ノックアウト・オプション
IG証券でCFDに次いで注目すべき取引はノックアウト・オプション。
ノックアウト・オプションとは、先に損切りのラインを決めた上で取引できるオプションのことです。オプションのため少ない資金(プレミアム分の金額)で取引ができるという特徴があり、株価指数はもちろん、コモディティや為替のノックアウト・オプションが取引できます。
デメリットとして、成行注文しかできない点、最初に損切りラインが設定されるためそれ以上の損は出ないもののあっさり決済されてしまう点には要注意です。また手数料も若干高い気がします。
FX
IG証券で取り扱っている通貨ペアは約100種類。他の国内FX会社に比べると、この通貨ペア数は群を抜いています。
FXの手数料と言えるスプレッドについても、主要なペアについては国内最狭水準であることが多いです。ただし、スプレッドは時間により異なるようで、市場の混乱時にはかなり広がっているようです。
また、抜き打ちのシステムメンテナンスなのか、平日の取引時間帯に止まってしまうことが1年に数回起きているようで注意が必要です。この間に市場が大きく動くと目も当てられません。逆指値を入れておくなど、必ずストップロスを置いておきましょう。
プレミアムサービス
IG証券には上記で紹介したもの以外にも、6つのプレミアムサービスが存在しています。
- 取引手数料の優遇(ロイヤリティ・プログラム)
- パーソナルサポート
- 特別セミナー開催やイベント招待
- アナリストからの情報提供
- 専属担当者への優先電話
- 税理士紹介サービス
ただし、これらの充実したプレミアムサービスを受けるためには取引回数、取引量などの条件があります。利用者の属性によってその基準が決まるようで、一概にここから適用されると言えるものはありません。もしメインで利用していてプレミアムサービスが気になるという方は、IG証券に問い合わせてみると良いでしょう。
まとめ
この記事ではCMで話題のIG証券について少しだけ語ってみました。
投資初心者の方にとって、IG証券はもしかすると使いこなすことが難しい証券会社なのかもしれません。しかしトレーディングで自分の未来を切り拓きたいという方でCFD取引を行うのであれば、非常に有力な選択肢であることは間違いありません。口座の開設や維持は無料ですから、もし気になるのであれば、まずは口座開設してみてはいかがでしょうか?