GAFAMと呼ばれる企業群は世界経済の牽引役として、今や私たちの生活にいなくてはならない存在となりました。
世界のトップに君臨してからも時価総額は更に大きくなり成長を続けています。株価が天井をうったようにも見える米国5大IT企業のGAFAMへこれから投資しても利益は得られるのでしょうか?
この記事では、それぞれの企業の特徴と成長の可能性を見ていきます。
GAFAMとは?
GAFAMとは米国の巨大IT企業、Google(現在:Alphabet)、Apple、Facebook(現在:Meta)、Amazon.com、Microsoftの5社の頭文字からとった用語です。これらの企業は世界中で事実上の「社会インフラ」とみなされており、その強くなりすぎた影響力を危惧する声も大きく、各国ではGAFAMが資本主義や社会秩序を破壊しかねないとまで言われるほどです。
この記事ではGAFAMについて、その将来性をもとにこれから投資すべきかを考察してみましょう。
Alphabet(アルファベット):Google・YouTubeを傘下に
インターネット検索でもっとも多くの人が使う検索エンジンがGoogleです。親会社であるAlphabet(アルファベット)はGoogleに加え、2006年に買収したYouTubeをはじめとした有力なサービスを傘下にしており、企業としての業種は通信サービスに分類されます。
アルファベットでは、そのセグメントを「Google Services」「Google Cloud」「Other Bets」と3つに分け事業を展開しており、主力のGoogle Serviceには検索エンジンであるGoogleをはじめ、スマートフォンOSのAndroid、高機能で拡張性の高いインターネットブラウザChrome、外出先ではもはや欠かせないGoogle map、音楽事業のGoogle play、動画サービスのYouTubeなど有望な事業が多数含まれています。
オンラインサービス普及やクラウド移行により業績好調は加速しています。一般消費者・企業のいずれも使っているものであり、個人ではメールサービスのGmailを利用している方も多いでしょう。クラウドサービスとはアカウントがあればネット上で利用できるようになるサービスのことです。パソコン本体にソフトウェアをインストールしなくても利用できるメリットがあり、近年採用する企業が急速に増えています。
今後も、ネット検索や広告事業の売上を収益の柱としながらクラウド事業での成長が見込まれます。
Apple(アップル):時代の最先端を征く、時価総額トップ企業
Apple(アップル)は株式時価総額世界1位の企業です。大ヒット商品を生み出し続けてきたこの会社について名前を知らない方はいないでしょう。企業としての業種は情報技術(IT)に分類されます。
かつては音楽プレイヤー「iPod」の大ヒットにはじまり、近年はスマートフォンの「iPhone」、タブレットの「iPad」、パソコンの「iMac」という時代を代表する商品を生み出し業績が大きく伸びたことはよく知られています。今でも「Apple Watch」などの新商品や新モデルは時代を席巻しており、Appleストアに人が並ばない日は見ないほどです。
2020年10-12月期において同社として初となる次世代通信規格5G対応の「iPhone12」へのユーザーの買い替え需要が市場予想を上回って推移したことで売り上げを押し上げました。
Appleはスマートフォンアプリ提供サービス「App Store」にて有料コンテンツとなる課金から一定率をサービス利用として徴収し収益源としていました。App Store以外での有料コンテンツ課金はAppleのポリシーに違反となり禁止されていたことから、このApp Storeを通しての課金(通称「アップル税」)はAppleの大きな優位性と見られていました。
しかし2021年に巨大ITサービスによる独占禁止法への抵触が問題となり、2022年以降はApp Storeを介さない外部サービスで直接課金することが認められることになりました。ただしこの外部サービスへの直接課金は雑誌、新聞、音声、動画などの「リーダーアプリ」に限られ、それ以外のゲームなどのアプリでは引き続き外部への誘導は禁じられため、現状では大きな影響が出ないと見られています。
Meta(メタ):SNSの雄Facebookが開くメタバースの扉
青年実業家マイク・ザッカーバーグ氏が創り出したSNSのトップランナーがFacebook(フェイスブック)です。もともとの社名は「Facebook」でしたが、2021年に突如その社名を「Meta(メタ)」に変更しました。企業としての業種は通信サービスに分類されます。
Metaはソーシャルネットワーク・ウェブサイト「Facebook.com」運営に加え、写真や動画を共有できる「Instagram(インスタグラム)」を提供していますが、会社の収入源の中心は広告料です。2020年は新型コロナウイルスの影響で旅行業界や自動車業界からの広告が低迷したものの、ステイホームによるユーザーのSNS利用が増えたことにより、市場予想よりも良い決算で着地しました。企業広告も徐々に回復しつつあります。
そんな中、彼らは次に来るであろうコンピュータプラットホームとして「メタバース」の頭文字からとった「Meta(メタ)」を社名としました。メタバースそのものが実現されているものではありませんし、そのサービスとして提供する具体的なラインナップがあるわけでもありません。しかし、「企業としてメタバースへ大きな投資をしていく」という強い意志を感じられる社名変更には、投資家としてMetaという企業へ投資するかセンスを問われているように思えてなりません。
メタバースとは...
Metaverse(メタバース)とは、「変化・超越」という意味の「Meta」と「宇宙・銀河系」という意味の「Universe」を合わせて生み出された概念。メタバースは仮想空間の意味合いで使われることが多く、「VR(バーチャル・リアリティ)」が作り出す仮想空間・仮想現実があたかも現実のものであるかのような体験を実現できるとされています。
Amazon(アマゾン):最強の通販とクラウド事業で成長加速
Amazon(アマゾン)といえば、Amazon.comで世界最強の通販を提供している企業として超有名です。企業としての業種は一般消費財に分類されます。
コロナ渦において、通販市場は新型コロナウイルスによるロックダウンや、外出制限による買い物の受け皿として大きな存在感を示しました。通販市場においてリーディングカンパニーになっているのがAmazonです。競合が多い業界であり、ライバル企業としては中国のアリババ、米国のイーベイ、日本の楽天などが挙げられます。ちなみに日本国内のECモール売上高では楽天がアマゾン・ジャパンを抑えて首位に立っています。
Amazonでは主力の通販事業が好調なほか、近年はインターネットを使ったデータ保存などを行うクラウド事業が伸びています。Amazonのクラウドサービスの主力はAWS(Amazon Web Servicesの略)であり、100以上のクラウドコンピューティングサービスを提供しています。手元に1台のPCとインターネットに接続できる環境さえあれば、サーバーや大容量のストレージ、高速なデータベースなどを必要な分だけ利用できるということで、様々な企業のインフラがAWSに採用されています。
これまで銀行の勘定系と呼ばれる領域では未だにメインフレームという古い技術が採用されていましたが、海外大手銀行でもクラウドの採用を発表するなど、クラウドにはまだまだビジネスチャンスがあると言えます。そのため、クラウドは今後も新たな収益の柱として期待がかかります。
Microsoft(マイクロソフト):現代もトップを疾るITの巨人
Microsoft(マイクロソフト)はパソコンを使用するためのオペレーティングシステム(OS)製品「Windows」をはじめソフトウェアを開発・販売している企業ですね。企業としての業種は情報技術(IT)に分類されます。
これまでは売り切りだったオフィス用ソフトをサブスクリプション型へ販売形態を変更したことや、クラウドサービス「Azure(アジュール)」の開始により、黙っていても手元資金が積み上がる「さらに隙のない」会社に変貌しました。最近ではリモートワークやeスポーツの普及で高性能パソコンが復権したことから事業はまだまだ拡大する余地があると見られています。
ただし、クラウド分野はGoogle、Amazonともサービスが競合しているため、かつてのパソコンにおけるWindows vs Macのような覇権争いがどのように進むのか今後の展開に注目です。
GAFAMへ投資するには?
GAFAMに投資するのであればいくつかの方法が考えられます。ひとつはGAFAMへ多く投資するようなファンドへ投資することです。
ファンドと言っても費用の面で論外なアクティブファンドではなく特定のインデックスに連動するファンド、特に海外ETFを使った方法がよいでしょう。米国の株価指数の中でもNASDAQ100インデックスに連動するETF「QQQ」は40%以上をGAFAMが占めており、他にもTesla(テスラ)やAdobe(アドビ)、Netflix(ネットフリックス)が上位銘柄として含まれているため、手軽に超大手企業へ分散投資する目的にはぴったりです。

もし個別企業の現物株式を購入するのであれば、証券会社で口座が必要となります。最近では多くの証券会社が海外株式や海外ETFを取り扱うようになってきており、手数料で優劣がかなりはっきりするようになってきました。手数料を比較して実際にどの証券会社を使うか検討してみるとよいでしょう。

まとめ
ここではGAFAMの各企業の特徴や将来性について紹介してみました。今では私たちの生活に欠かせないものになった企業であり、今後もその成長性が見込まれます。
皆さまには世界を代表する米国IT企業について理解していただき、投資に生かすことで少しでも豊かな生活を送ることのお役に立てればと願っております。