[まとめ]株式市場のアノマリーや狙うべきタイミング一覧

株式・債券

ここでは、株式市場におけるアノマリーや狙うべきタイミングをまとめていきます。

日次

まずは毎日チェックすべき日次のタイミングです。株式は銘柄数が多く、どの銘柄かは毎日それなりの値動きがあるので、トレーディング狙いであれば見逃せない時間帯は張り付くことになります。

なお、時間を記載するときには冬時間で書いていきます。

東京時間開始直後(9:00〜10:00)

日本人ならトレーディングのメインは日本株となるでしょう。寄り付きの期間は動きが大きいものの、前日の米国市場の流れを汲む傾向にあるので、方向感という意味ではチャンスになります。

寄り付きはボラティリティが高くなりやすく、動く銘柄ならこの時間帯だけで何往復も狙うこともあるでしょう。

何らかのニュースが出る場合、夜間PTSなどの取引で方向感を事前にチェックしておけば、取引戦略をたてやすいかもしれませんね。

現物取引では同じ銘柄に対して資金余力を使いまわせないので、必然的に信用取引を選ぶことになります。信用取引ならおすすめは松井証券。100万円以上の取引で手数料が取引無料となります。

東京時間クローズ前(14:30〜15:00)

クローズ前の価格の動きに注意しない方が意外と多いようです。クローズ前はその日のクローズに合わせて取引量が増えることがあり、見逃してはなりません。

この傾向にはいくつかの理由があるようで、「日銀のETF買入れに合わせた運用会社の現物の購入」「パッシブファンドがインデックスとの乖離を防ぐための取引タイミング調整」「マーケットメイカーによる流動性・価格調整」などの要因が考えらます。とは言ってもいずれも事前に動きを予想しにくいため、傾向をよく観察することが重要です。

アジアの大きな市場の影響を受け安いのも特徴で、例えば香港株(ハンセン指数)や中国株(CSI500)の動きによっては、午前中好調だった日本株がずるずる下がって、結局1日を通して見ると日本株はマイナスみたいなこともしばしばあります。

ニューヨーク時間開始直後(22:30〜23:30)

もうひとつ注意が必要なのが、ニューヨーク時間の開始直後。株式市場が22:30から取引となり、ここで大きな動きがあると世界中の株式指数先物に即座に影響が出てきます。

米国の各種指標発表は22:30頃が多く発表日は当然油断できませんが、それだけでなく現地で悪いニュースが出るときは翌日1:00(25:00)頃になり意外とうっかりできません。日本の夜に大きく動くことが多いので、朝起きて指数先物の損益がとんでもないことになるというのは、主にこれが原因。

週次

1週間のサイクルあたりから、はっきりした傾向が出やすいものになってきます。

月曜日の東京時間開始前から開始直後(8:45〜9:00、9:30〜10:00)

週明けの開始直後は結構危険。金曜日夜のクローズ付近での影響を引きずる傾向と、土日に出てきたニュースも一気に反映されるので注意が必要な時間帯。

早朝はいわゆる「窓埋め」となっており、流動性が低いため、どうしても一気に動き始め、瞬間的なボラティリティが上がりやすいのです。

また、日本の機関投資家が動くのは、株式市場のその週の方向感が出はじめる9:30過ぎからになるようで、9:30頃からジリジリ動いていきます。

金曜日の深夜(28:00〜30:00)

週の始めと似たロジックで注意が必要なのは、金曜日の深夜から土曜日の早朝時間帯。

特に週の後半で悪いニュースが出ると、土日にさらに悪化することを懸念して金曜日の夜で一気に下落しやすいのです。

あと、流動性が悪化しやすいもこの時間帯で商いが薄い時期はフラッシュクラッシュに注意が必要。

月次

月次では主に経済指標発表が材料となっており、瞬間的な大きな価格の動きを狙うときにはチェックしておきたいポイントです。

米国雇用統計発表(毎月第一金曜日の22:30)

重要指標のひとつで絶対に見逃してはいけないタイミング。雇用統計の結果はアメリカの景気を如実に表しており、為替相場にも大きな変動が起こります。

「なぜ米国指数なのに国内株式に影響が出るの?」と思っているようではまだまだです。今や株式市場は米国を中心に回っていると言っても過言ではありません。米国株が下落した翌日の日本株は、大体下落すると決まっています。

雇用統計では10項目が発表され、特に重要度が高いとされているのが「失業率」「非農業部門雇用者数」「平均時給」の3つ。

結果が予想より良い場合、景気が良いと判断されると市場全体がリスクオンとなり、株は上昇しやすいです。

「ジブリの呪い」と言われているものの原因は実はこれ。ジブリ作品の放送は「金曜ロードショー」が多く、放映中は欧州時間、放映後は米国時間です。これが第1週の金曜日だと米国雇用統計の発表日に重なるので市場全体が乱高下しやすい、となります。

米国消費者物価指数(毎月13日頃の22:30)

雇用統計と並んで重要な指標であり、こちらも見逃してはなりません。前月分の統計値が発表されます。

消費者が購入するモノ・サービスなど物価の動きを把握するための統計指標であり、国民の生活水準を示す指標とも言えます。米国のインフレ率を分析するための最重要指標なので、株式も国債利回りも為替も大きく動きやすい。

雇用統計よりも市場への影響を予想することが難しく、予想より良すぎてもインフレを抑えにいくのでは?という観測から市場の下落につながることもあります。

FOMC

FOMC(米連邦公開市場委員会)は超重要会議のひとつ。厳密には毎月ではないのですが、年8回程度行われるので、大体月次と言っても過言ではないでしょう。

FOMC前の数日はボラティリティが低くなり、高官の発言が報道されると途端に大きく反応します。

ちなみにブラックアウト・ルールと呼ばれるものが存在しており、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)の関係者が金融政策に関して踏み込んだ発言をしてはならない期間というものが存在しており、FOMCが開催される前々週の土曜日からFOMC終了時までが該当しています。

年次

年次サイクルはシーズン性の強いものがあり、明確に理由を説明しにくい「アノマリー」の典型と言えるものが数多く存在します。

節分天井・彼岸底

節分の時期(2月の初旬)に天井をつけ、彼岸の時期(3月中旬)に底値を打ちやすいというアノマリーです。

2月まで上がる理由としては新年に入ってからの大口投資家の資金流入で市場全体が上昇しやすいことに加えて、2月上旬で12月締めの決算が出揃い材料の出尽くしとなるからだと考えられています。

一方で3月中旬以降に上がり始めるのは、3月末での株式の権利取りのために買いが優勢になることで、少しずつ上昇していきやすいという投資家の心理や行動が表れていると考えられます。

セルインメイ(Sell in May)

セルインメイは株式市場で最もよく知られているアノマリーのひとつです。

これは春先から5月にかけて市場は上がりやすく、夏枯れ相場に向けて徐々に下落していくという1年の流れに向けて、5月のうちに売り抜けておけ、ということです。

ありがちなのですが「5月は下落しやすいから売っておけ」と誤解されていることが散見されます。確かに日本では5月のGW連休前後で荒れやすい事情はあるのですが、世界全体で見るとむしろ逆です。6月から9月にかけて下落していくので、しっかり値持ちしている5月のうちに売り切っておけというのが正しい「セルインメイ」です。

夏枯れとサマーラリー

こちらは海外特有の夏のバケーションシーズンが要因であるアノマリーと言えるでしょう。

夏枯れというのは市場参加者があまり積極的に取引しない閑散とした時期のことで、日本のお盆休みもあり買い支える大口がいないため、市場が鈍い時期を意味しています。いわば「中休み」が夏枯れの実態です。

一方でサマーラリーとは7月から8月にかけて株価が上昇するアノマリーです。これは夏休みに入る前に、「優良株」を買い溜めておこうという投資家の行動によって起こると言われています。

ハロウィン効果

ハロウィン前の10月に株式を買っておき、春先(4月から5月)に株式を売ると利益が出やすいというアノマリーです。

そもそもは9月というのは市場全体が下落しやすい時期で、これ自体がアノマリーとなっています。そういえばリーマンショックの引き金となったリーマン・ブラザーズの破綻も9月の半ばでした。そして10月は9月の下落を引きずりながら大きな下落が起こりやすい時期でもあり、ブラックマンデーなどは10月に集中しています。

逆に10月の後半は市場のどん底になりやすいため、ハロウィン前にしっかり買っておき、上昇に備えておくというのがハロウィン効果の解釈となります。

米国のホリデーシーズン:特にThanksgiving Day(感謝祭)、Christmas Day(クリスマス)、New Year(新年)

一般に米国のホリデーシーズンは10月からであり、10月はハロウィーン、11月は感謝祭、12月はクリスマス、1月は新年が該当します。祝日前後は流動性が低くなりやすく、悪いニュースが流れると途端に市場が過剰に動く傾向にあります。

11月の45日ルール

12月末でのヘッジファンド解約に向けたマーケットの異常な動きです。ヘッジファンド解約は45日前に申し出る必要があり、その後にヘッジファンドがポジションを解消していくことから、バリュエーションや相場の方向感と異なる取引が集中することで、11月半ばには意味不明な資産価格となることがあります。

12月の下落

12月は節税に向けてリスク資産が売却される傾向にあり、株価が下がりやすくなるというアノマリーです。

まとめ

この記事では株式市場の世界でのアノマリーや狙うべきタイミングを紹介しました。できるだけ一覧にしたつもりですが、ここで紹介したタイミングで全て入ればいいというものでもありません。日々のリサーチをもとに、確信度の高い取引を重ねることが重要です。

株式で取引を行っている方の参考になりますと幸いです。

ジェフリー・A・ハーシュ(著)