ここでは、仮想通貨におけるアノマリーや狙うべきタイミングをまとめていきます。
日次
まずは毎日チェックすべき日次のタイミングです。仮想通貨は株式市場や為替と異なる動きが多く、かつ24時間通して価格が動くため、なかなか難しいところがあります。見ておくポイントを押さえておくと、かける時間に対する取引の効率が格段に向上します。
なお、時間を記載するときには冬時間で書いていきます。
東京時間早朝(5:00〜7:00)
他の資産と比べると、見るべき時間帯はかなり早いところから始まります。
この時間帯で比較的大きく動く理由としては、先物の取引時間の終了があげられます。先物はシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)上場のものが基準として使われますが、CMEの取引時間は東京では7:00まで。クローズにかけて価格が動きやすいのが特徴です。
現物と先物のファンディングレート(FFレート)の傾向を見ながら価格が動きやすい時間を把握しておくと、効率よく取引できます。
ファンディングレート決定前(8:30〜9:00、16:30〜17:00、0:30〜1:00)
仮想通貨の世界にはファンディングレート(FFレート)という現物と先物の価格差を表す指標があります。このFFレートは1日3回(9:00、17:00、1:00)変更され、変わるタイミングでの保有ポジションに応じて金利のやり取りが発生します。このFFレートが決まる少し前のタイミングでは価格が動きやすい、という事象が見られます。
FFレートは現物と先物価格の価格差により決定するため、先物価格の乖離が生じているほど将来の価格が動くと見られています。また、FFレートが大きければ大きいほど、その金利を取りに行く取引が増えやすいという傾向があります。
FFレートは取引所により異なり、Huobi、FTX、Binance、Bybitとそれぞれ取引所ごとに異なる数字を示します。(※日本で認可を受けていない海外取引所の利用を推奨しているものではありません)
週次
1週間のサイクルあたりから、はっきりした傾向が出やすいものになってきます。
金曜日の米国時間クローズ前(5:00〜6:30)
金曜日の米国時間のクローズ前は比較的方向が明確であるため、取引するにはチャンスです。
仮想通貨は最も規模の大きいビットコインでさえ、大口保有者(いわゆるクジラ)の取引が市場にかなり大きな影響を与えます。クジラをはじめ大口投資家は基本的に平日に取引しており、仮に下落してもあるところから大きな買い支えがあるなど、トレンドが大きく反転しない限りは価格が下落しにくいです。
一方、土日は個人投資家がメインプレイヤーとなり、その資金規模では大きな上昇を伴うほどの買い支えは期待できません。
これを言い換えれば、土日には上がりにくく、金曜日の夜で価格が落ち着く(下がる)までに売っておけば、金曜日の夜から土曜日の朝にかけての下落で買い戻すことで値幅をコンスタントに取れることになります。
もちろん、この傾向は絶対ではありませんが、機関投資家が仮想通貨に参入した現在の市場では比較的安定した経験則と言えると思います。
月次
月次では主に経済指標発表が材料となっており、瞬間的な大きな価格の動きを狙うときにはチェックしておきたいポイントです。
米国雇用統計発表(毎月第一金曜日の22:30)
重要指標のひとつで絶対に見逃してはいけないタイミング。雇用統計の結果はアメリカの景気を如実に表しており、仮想通貨の相場にも大きな変動が起こります。
雇用統計では10項目が発表され、特に重要度が高いとされているのが「失業率」「非農業部門雇用者数」「平均時給」の3つ。
結果が予想より良い場合、景気が良いと判断されると市場全体がリスクオンとなりやすいです。
しかし、ここで難しいのがリスクオンが必ずしも仮想通貨の価格上昇という結果にならないのがむずかしいところ。2021年11月以降は米国の金融緩和縮小により市場に溢れていた資金が徐々に減ってきたことで、リスク資産の中でも投資家の好みが出てきます。
その結果、リスクオン時に株式が上昇するのは普通ですが、リスクオンにも関わらず仮想通貨が下落するということが見られるようになってきました。
そのため、取引時にはかなり慎重に方向感を見極める必要があります。
米国消費者物価指数(毎月13日頃の22:30)
雇用統計と並んで重要な指標であり、こちらも見逃してはなりません。前月分の統計値が発表されます。
消費者が購入するモノ・サービスなど物価の動きを把握するための統計指標であり、国民の生活水準を示す指標とも言えます。米国のインフレ率を分析するための最重要指標なので、株式も国債利回りも為替も大きく動きやすい。当然仮想通貨も動きます。
雇用統計よりも市場への影響を予想することが難しく、予想より良すぎてもインフレを抑えにいくのでは?という観測から市場の下落につながることもあります。
FOMC
FOMC(米連邦公開市場委員会)は超重要会議のひとつ。厳密には毎月ではないのですが、年8回程度行われるので、大体月次と言っても過言ではないでしょう。
FOMC前の数日はボラティリティが低くなり、高官の発言が報道されると途端に大きく反応します。
ちなみにブラックアウト・ルールと呼ばれるものが存在しており、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)の関係者が金融政策に関して踏み込んだ発言をしてはならない期間というものが存在しており、FOMCが開催される前々週の土曜日からFOMC終了時までが該当しています。
年次
仮想通貨は歴史が短く、年次サイクルでの「アノマリー」と言えるものは確立されていません。それでも他のリスク資産と同様の価格の動きが見られるようです。
セルインメイ(Sell in May)
セルインメイは株式市場で最もよく知られているアノマリーのひとつです。これは仮想通貨の世界でも弱いアノマリーとして効いているようです。
5月がピークとなりやすい理由のひとつは米国の連邦税還付が終了する時期であることが考えられます。米国ではインフレ対策のため日本や欧州よりもリスク資産として資産を保有することが多いのですが、還付金を使って仮想通貨を買い入れているという予想がされています。
サマーラリー
こちらは海外特有の夏のバケーションシーズンが要因であるアノマリーと言えるでしょう。仮想通貨では個人の買い入れもそれなりに大きいこともあり、どこでも取引できるため必ずしも夏枯れとはなりにくいようです。
夏枯れ自体の影響としては流動性が低くなりやすく、ボラティリティの高い仮想通貨は少しのニュースで大きく価格が変わりやすいのがこの時期で、その様相はまさにサマーラリー。
方向感を見るのは難しくリスクをコントロールすることが重要です。
米国のホリデーシーズン:特にThanksgiving Day(感謝祭)、Christmas Day(クリスマス)、New Year(新年)
一般に米国のホリデーシーズンは10月からであり、10月はハロウィーン、11月は感謝祭、12月はクリスマス、1月は新年が該当します。祝日前後は流動性が低くなりやすく、悪いニュースが流れると途端に市場が過剰に動く傾向にあります。
仮想通貨は流動性が低いとフラッシュクラッシュが起きやすく、リスクの取りすぎるポジションは破滅につながります。
12月の下落
12月は節税に向けてリスク資産が売却される傾向にあり、市場全体が下がりやすくなるというアノマリーです。これは仮想通貨でも似たような傾向が見られるので、注意が必要です。
まとめ
この記事では仮想通貨の世界でのアノマリーや狙うべきタイミングを紹介しました。できるだけ一覧にしたつもりですが、ここで紹介したタイミングで全て入ればいいというものでもありません。日々のリサーチをもとに、確信度の高い取引を重ねることが重要です。
仮想通貨で取引を行っている方の参考になりますと幸いです。