[ビットコイン]仮想通貨の理論価格モデルとは?

仮想通貨

仮想通貨へ投資する上でもっとも大きな問題が「仮想通貨はどれだけの価値があるのか?」という点です。

一般的な投資対象となる資産であれば、何らかのモデルに応じて計算された価格(理論価格)の存在は一般的ですが、仮想通貨ではその計算モデルや理論価格はあまり知られていないのが実情です。

この記事では、仮想通貨の理論価格モデルを紹介します。

仮想通貨の理論価格計算モデル

ここでは、仮想通貨の理論価格を計算するための以下のモデルを紹介していきます。

  • ストックフローモデル(S2F)モデル
  • 生産コスト(CoP)モデル

早速それぞれのモデルについて見ていきましょう。

1.ストックフローモデル(S2F)モデル

ストックフローモデルは金(ゴールド)や銀(シルバー)などのコモディティの価格予想をするために使われたモデルであり、英語での表記である"stock to flow model"を省略したS2Fモデルとも呼ばれています。

仮想通貨そのものは株式や債券のようにキャッシュフローを生み出さないという意味で、コモデイティと似ています。

ストックフローモデルをビットコインへの適用は、2018年にplanBを名乗るオランダの機関投資家によって提唱されました。(オリジナルペーパーはこちら

算出方法

ストックフローモデルによる理論価格の算出方法はシンプルです。

SF = 市場に存在する量(ストック)÷ 年間供給量(フロー)

この式はストックフロー比率(SF)を表しており、「現在流通している量を今から作ろうと思ったら何年かかるのか」を意味しています。

金(ゴールド)で言えば、市場に存在する量はこれまで人類が採掘してきた金の総量であり、年間供給量は1年に採掘できる金の量というわけですね。

これをビットコイン(BTC)に当てはめると以下のようになります。

SF = 「これまでの発行枚数 - 100万BTC(ストック)」÷「ブロック生成数 * 1ブロック当たりのBTC報酬量(フロー)」

ビットコインにおいて採掘量はマイニング報酬に該当しますので、1ブロックあたりの報酬にある期間におけるブロック生成数にかけることで採掘量が求まるということですね。

ちなみに分子で100万BTCを差し引いているのは、ビットコインの提唱者であるサトシ・ナカモト氏が保有する分であり、こちらは市場に決して出回らないため、市場に存在するストック量から差し引かれています。

他の商品とストックフロー比率を比較してみると、以下のようになります。(2021年末)

商品 SF
(ストックフロー比率)
時価総額
[兆円]
金(ゴールド) 61.7 1,240
ビットコイン 54 100
銀(シルバー) 22 0.4
白金(プラチナ) 0.4 0.26

ビットコインのストックフロー比率は金(ゴールド)に迫っていることがわかりますね。

フローとなるマイニング報酬は将来減っていくため、今後はゴールドを上回る可能性が非常に高い見込みです。

最終的に求められる理論価格は以下の通りです。

理論価格USD = exp(-1.84) * SF3.36

このモデルに基づくと、理論価格と実際の価格は以下のグラフのように表現されます。

S2Fチャート
PlanBの理論に基づくS2Fチャート

傾向としては、理論価格を示す青色の線と実際の価格が極端な外れとはなっておらず、比較的リーズナブルな計算になっているということができます。ただし、まったく外れていないわけでもなく、傾向はうまく算出されていますが、やや誤差が大きい点が気になります。

さらに、ビットコインの最大発行量には上限があるため、ストックフローモデルで予想される理論価格は将来的に無限大に発散してしまうことも懸念事項です。

実際には、計算に使う期間の取り扱い方や価格推定式のパラメータが異なるなど、算出方法により結果が微妙に異なる点にも注意が必要です。

2.生産コスト(CoP)モデル

生産コスト(cost of production)モデルはマイニングコストからBTC価格の下限値を予測するための理論モデルであり、S2Fモデルでの懸念点を払拭するために提唱されたものです。

元々は「エネルギー値等価モデル」というマイニングに使うパワーのみを考慮したモデルが考えられていたのですが、マイニングに伴う資本的支出に伴うコストについてまったく考慮されていないという欠点を補い提唱された理論です。

算出方法

生産コストモデルによる理論価格の算出方法は、その名の通り生産コスト、つまりマイニングに必要となるコストから算出するモデルです。

モデルにおいて加味されるコストとしては、以下のようなものがあげられます。

資本支出(CapEx)
  • マイニングリグの購入費用
  • マイニングファームの設備費用
  • 規制対応/法務費用 など
運用コスト(OpEx)
  • 電力コスト
  • プールコスト
  • 人件費

これらの生産コストから、理論価格が計算されます。

理論価格USD = 資本支出(CapEx)USD + 運用コスト(OpEx)USD

まとめ

ここでは仮想通貨における理論価格計算のためのモデルについて紹介してみました。

皆さまにはマーケットの動きについて理解していただき、投資に生かすことで少しでも豊かな生活を送ることのお役に立てればと願っております。