投資の最先端を追い求める方にとって、暗号資産(仮想通貨)は最も魅力のある資産のひとつです。
ブロックチェーン技術を用いた最初の仮想通貨が登場して以降、様々な種類の通貨が生まれてきました。
この記事では、専業トレーダーが今もっとも注目すべき仮想通貨についてその特徴を紹介してみます。
暗号資産(仮想通貨)の注目分野
ここでは仮想通貨でいま注目すべき分野をとりあげてみましょう。仮想通貨の世界では大きく2つのテーマが注目されています。
- メタバース(ゲーム関連)
- NFT:Non-Fungible Token(非代替性トークン)
メタバースは、インターネット上で広がる三次元の仮想空間を総称した呼び方です。すごく高度なゲームや仮想現実というとイメージしやすいかもしれません。ユーザーは、メタバース内で自分の分身であるアバターを操作し、他のユーザーと交流したり、敵を倒したり、アイテムを揃えたりするといった別世界での生活を楽しめます。ここでいう「メタバース」というテーマのメインは、アイテム購入や現実の法定通貨に換金できるメタバース空間の「お金」として使える仮想通貨であり、メジャーどころの通貨は価格上昇が顕著です。
NFTとは「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の略称であり、ブロックチェーン技術を用いてデジタルデータに代替することのできない唯一の識別情報を持たせ、希少性や唯一性を与えるものです。コピーできないデジタルデータによりファンアイテムやゲームキャラクターにそれぞれの価値を与える技術であり、言い換えれば偽造や複製が困難な鑑定書付きのデジタルデータとも言えます。

いずれも最近になって突如出現した概念であり「メタバースやNFTなんて言葉は聞いたことがない」という方がいても無理はないでしょう。他にもDeFi(分散型金融)などのテーマもあり、いずれも見逃せないものばかりです。
ここからは様々な切り口で各通貨を見ていきます。
主要な暗号資産(仮想通貨)
BTC:Bitcoin(ビットコイン)
BTC(ビットコイン)は2008 年に「サトシ・ナカモト」と名乗る人物がインターネット上に公開した論文の中で構想が示され、それを受けて運用が開始された仮想通貨です。分散型台帳を作る技術である「ブロックチェーン」を利用することで、公的な発行主体や管理者の裏付けなしにネットワークを介して価値の保存や移転を行える特長を実現し世の中に広まった最初の仮想通貨と言えます。
2021年はビットコインそして仮想通貨にとって大きな躍進の年でした。ビットコインに直接関連するものだけでも、2021年2月にテスラ社がビットコイン購入を発表したことで価格が大きく上昇、2021年9月にエルサルバドルが世界で初めてビットコインを法定通貨として採用、2021年10月には米国でビットコイン先物を活用したETFが承認され上場するなど、様々なイベントがありました。
ビットコインについては決済方法として確立するか、ビットコイン現物ETFが実現するかなど、今後もその動向はまだまだ見逃せません。
ETH:Ethereum(イーサリアム)
ETH(イーサリアム)はヴィタリック・ブテリン氏によって開発されたプラットフォームの名称です。このプラットフォーム内で使用される仮想通貨をイーサ(英: Ether、単位: ETH )といいます。日本では、「プラットフォーム」を意味するイーサリアムと「通貨」を意味するイーサの両方を「イーサリアム」と呼ばれることが普通です。
イーサリアムはNFTやメタバースのコア技術として最も期待されている仮想通貨のひとつであり、今後も価格が上昇していくことが期待できます。
また、イーサリアムではビットコイン同様、コンピュータの大量計算によるマイニング作業で通貨が発行されるProof of Work(PoW)が採用されています。しかし、マイナーの通貨保有量や保有期間に応じてマイニングの難易度を調整するProof of Stake(PoS)への移行が決定しており、将来に向けたアップデートの動向にも注目です。
メタバース(ゲーム関連)
Axie Infinity/AXS(アクシーインフィニティ)
Axie Infinity(アクシーインフィニティ)とは、2018年にリリースされたベトナム発のNFTゲームです。
アクシーインフィニティはゲーム内で「Axie」というモンスターを集めて戦わせるゲームであり、わかりやすく言えばポケモンみたいなものですね。NFTのモンスターやアイテムなどを売買することで仮想通貨を入手できるため、近年稼げるゲームとして人気を集めています。
このゲームをはじめるにあたり、まずキャラクターを集めるための初期投資としてAXSを購入する必要があります。ゲームをひとたびはじめれば、SLPとAXSという2種類の仮想通貨を得ることができ、これを換金することで稼げるということですね。
稼げるようになる仕組みについて不思議に思われるかもしれませんので説明しておきます。SLPやAXSはゲームをすることで生成されます。ゲームへの参加者が増えることでSLPやAXSの需要が増加し、現実世界での価格が上がりますので、ゲームでSLPやAXSを得ることにより稼げることになります。また、AXSは2026年まではステーキングにより年利113%で増やすことができるというのも見逃せません。
このように現実の金融に影響を及ぼすゲームとして注目されており、その通貨としてAXSが注目されているということになります。
Sandbox/SAND(サンドボックス)
The Sandboxは「サンドボックスゲーム」のひとつとして作られたブロックチェーンを使ったNFTゲームであり、ゲーム内で使える仮想通貨をSANDといいます。
そもそもサンドボックスゲームとは、ゲームを進行するためのクエストが存在せず、プレイヤーが自由に目的を決めて遊んでいくスタイルのゲームのことです。最もメジャーなタイトルとして「Minecraft(マインクラフト)」があります。
サンドボックスは、ゲーム内でのキャラクターやアイテムに価値を持たせ売買することが可能です。その際、ブロックチェーン技術により作成したキャラクターやアイテムが創作者固有のものになるため、その価値が担保されます。
サンドボックス内で取引できる対象は、ゲーム内で所有する土地の売却・貸し出し、オリジナルのキャラクターやアイテムを創作し販売する、自身の開発したゲームを展開することさえできるなど、創造性を生かして幅広い活動を行えることがこのゲームの魅力です。
このように魅力あるゲームでのトークンとしてSANDの人気が伸びており、更なる価格上昇が見込まれるというわけです。
Decentraland/MANA(ディセントラランド/マナ)
Decentraland(ディセントラランド)はイーサリアムブロックチェーンを利用した仮想現実(VR:バーチャルリアリティ)プラットフォームであり、そこで用いられるトークンがMANA(マナ)です。
ディセントラランドでは自分の市場やアプリケーションを構築するための土地区画「LAND」を購入することができます。これらのデジタル資産はすべて「イーサリアム」で管理されることで仮想土地「LAND」の所有権を持つことができます。LANDでは「パーセル」というLAND内の区画を自由にカスタマイズすることによって、「パーセル」内でアイテムやコンテンツを作成することが出来ます。
土地だけでなくアイテムについてもディセントラランド内のNFTマーケット上でMANAを用いて売買することができます。OpenSeaなどの外部のNFTマーケットに持ち出せばイーサリアムなどの仮想通貨で売買することも可能であり、需要のあるNFTのアイテムを手に入れたりつくり出したりすれば、収益化することができます。
SAND同様、魅力あるゲームでのトークンとしてMANAの人気が伸びており、更なる価格上昇が見込まれるというわけです。
レイヤー1
イーサリアムはその拡張性から様々な分野への応用が期待されている一方、ガス代(取引手数料)が高いというデメリットがあります。「レイヤー1」とは、他のブロックチェーンから独立して動作するブロックチェーンのことであり、しばしばイーサリアムのライバルという文脈で「イーサリアム・キラー」「イーサ・キラー」とも呼ばれます。
それぞれが独立した規格であるため、ある通貨が有力なプロジェクトに採用されると価格が大きく上昇する要因となります。
他にもCardano/ADAやCosmos/ATOMなどのプロジェクトがありますが、ここで紹介するものに比べると目立たなくなっており、仮想通貨領域の進歩を日々感じています。
DOT:Polkadot(ポルカドット)
Polkadot(ポルカドット)は異なる仮想通貨のネットワークを繋げることを目指すブロックチェーンプロジェクトであり、開発者の中にはイーサリアムの共同創設者であるギャビン・ウッド氏が入っています。
リレーチェーン(Relay Chain)およびパラチェーン(Parachain)と呼ばれる独自のネットワーク構造により、ブロックチェーンの高度なトランザクション処理能力を有しています。
ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨では機能改善のアップグレードのためにハードフォークという方法を用いますが、この方法では開発の効率が悪くアップグレードに時間を要します。しかし、ポルカドットではハードフォークを行わずにアップグレードすることが可能となっており、迅速かつ柔軟な開発を行うことができるのです。
また、ポルカドットはブリッジという機能によりビットコインやイーサリアムなどの外部ネットワークと接続し利用することができます。様々なサービスと連携する機能を持っていることが評価され、ポルカドットを利用した多くのプロジェクトが立ち上げられています。
Solana/SOL(ソラナ/ソル)
Solana(ソラナ)は高性能なブロックチェーンアプリケーションの開発を目的としたブロックチェーンプラットフォームであり、Solanaブロックチェーン上で扱われるトークンの名称がSOLです。
ソラナは機能面において他にないほど優秀であり、イーサリアム・キラーの筆頭として名前があがるもののひとつです。
ソラナは承認アルゴリズムとしてPoH(Proof of History)を採用しており、スケーラビリティ問題における手数料高騰に悩まされているイーサリアムと異なり、一回のトランザクションのコストは0.000005ドル(約0.005円)しかかかりません。また、秒間トランザクション数ではイーサリアムが13~15ほどであるのに対し、ソラナは50,000と圧倒的な性能の高さを誇ります。
ソラナも多くのプロジェクトが立ち上がっているほか、イーサリアムから移行してきたプロジェクトもあるため、その高い機能が評価されているということができます。
Avalanche/AVAX(アヴァランチ)
Avalanche(アヴァランチ)はDeFi(分散型金融)に特化した高性能なブロックチェーンプラットフォームであり、Avalancheブロックチェーン上で扱われるトークンの名称がAVAXです。
スケーラビリティの問題が顕在化してきたイーサリアムに対し様々な高速ブロックチェーンが台頭してきましたが、その中でも2021年以降で特に急成長を遂げているプロジェクトのひとつがアヴァランチです。
アヴァランチではX・C・Pの3つのチェーンに分けられそれぞれ役割を分担することでシステムの渋滞を防ぎます。そのトランザクション処理数は毎秒4,500件と処理能力に優れており、このスピードは国際的なクレジット決済と同レベルであり、決済として用いる分には既存システムと遜色ありません。
また、アヴァランチには「バーン(焼却)」の仕組みが備わっており、アヴァランチが使われれば使われるほど通貨を意図的に減少させることで価値を上げるようになっています。バーンにより市場に出回るAVAXの量が減少するため、投資家にとっては価格高騰を狙いやすいのです。
Terra/LUNA(テラ/ルナ)
Terra(テラ)は独自のアルゴリズムを用いたプラットフォームです。各国の法定通貨にペッグしたステーブルコインを複数発行しており、ステーブルコインの他にガバナンストークンが存在します。このガバナンストークンがLUNA(ルナ)です。
テラではガバナンストークンを活用して市場における供給量を調整することで、安定性の高いステーブルコインを発行することを実現しています。
ユーザーのメリットはトランザクション手数料とステーキング報酬の獲得です。例えば、ステーブルコイン「Terra USD」の需要が高まり価格が上昇すると、価格を是正するためシステムが自動で「Terra USD」を発行します。その「Terra USD」を市場で売却し、売却益でLUNAトークンを購入して焼却(バーン)します。これによりLUNAトークンの価格が上がる仕組みとなっています。
LUNAトークンは他にもプロジェクトの方針決定を投票で決定する際にも用いられ、議決に参加できるメリットがあります。
レイヤー2
イーサリアムは拡張性があるとはいえ、取引量が多くなると送金が滞るという「スケーラビリティ(拡張性)の問題」があると言われています。「レイヤー2」とは、ブロックチェーン上(レイヤー1)に記載されないオフチェーンのことです。他にも、レイヤー1では全ての取引をブロックチェーン上に記録しようとするたびにマイニング手数料がかかるため、少額な決済(マイクロペイメント)に向かないという弱点がありました。「スケーラビリティ」「マイクロペイメント」の課題を解決するために開発されたのが、レイヤー1であるブロックチェーンとは異なるレイヤー2に置かれたオフチェーンで取引を実行するという方法なのです。
どの技術が抜きん出るかという激しい競争の最中、既存の仮想通貨を活かしたレイヤー2のグループにも注目されています。
Polygon/MATIC(ポリゴン/マティック)
このプロジェクトは2017年に開発がスタートした当初は「Matic(マティック)」という名称でしたが、2020年5月にメインネットをローンチした後、2021年2月に「Polygon(ポリゴン)」へリブランディングされました。Polygonが発行している独自トークンの名称は、リブランディング後も変わらずに「MATIC」のままです。
イーサリアムのセカンドレイヤー(レイヤー2)として高速化かつ低コスト化を実現しており、トランザクションは毎秒6,000~7,000件、平均取引手数料は0.00002ドルと非常に優秀です。
ポリゴンはイーサリアムのセカンドレイヤーですが、イーサリアムから独立したコンセンサスアルゴリズムとしてPoSを採用しており、DeFiやNFTへの対応が進んでいる点は評価が高いと言えます。
また、ポリゴンはあくまでイーサリアムにおけるスケーラビリティ問題の解決やエコシステムの拡大を目指して開発されたという経緯があり、他の相互利用可能なレイヤー1プロジェクトがシェアを広げたとしても、イーサリアム自体の優位性からポリゴンが淘汰される可能性は低いと見られています。
Ronin/RON(ロニン)
Ronin(ロニン)は先ほどゲーム関連の項目で紹介したNFTゲーム「Axie Infinity」を支えているインフラです。従来、このゲームでは「Axieを育てる」「Axieを育てる」などのアクションに対応するトランザクションごとに高額なインフラ取引手数料がかかっていました。Roninの導入により手数料が軽減されたため、Axie Infinity側が肩代わりし、ユーザーの負担する取引手数料0が実現できました。
これによりゲームユーザーが爆発的に増えるとともに、ゲーム内で必要なAxieを貸し出す組織、プロプレイヤーを抱える集団などが出現し、「ゲームで稼ぐ」ということが本格的に可能となりました。新型コロナウイルス出現で出稼ぎ労働が難しくなったフィリピン人の中には、Axie Infinityでの稼ぎで家族を養うというユーザーも出てきたのです。
言い換えれば、ロニンは「金融とゲームの融合」というトレンドを実現したプロジェクトであると言えます。
ロニンは汎用的な仕組みではなく特定のインフラとして開発されたという意味で、ポリゴンとまったく逆の思想です。しかし、ロニンやポリゴンの例はセカンドレイヤーであることを理由に将来性が懸念されるわけではないという実例と言えるでしょう。
ここで紹介した暗号資産(仮想通貨)を買うためには?
ここで紹介した仮想通貨を買うためには、イーサリアムを購入することが必要になります。まだイーサリアムを持っていないという方は、まずはCoincheck(コインチェック)で口座開設を行いイーサリアムを購入しましょう。
まとめ
この記事では仮想通貨の世界で今話題の銘柄を紹介しました。
いま、ブロックチェーンの技術は世界を大きく変えつつあるといっても過言ではありません。例えばGAFAの一角であった旧Facebook社は社名を「メタ」に改め、現実のつながりをネットで繋げたFacebookから、より抽象的な世界であるメタバースを実現しようという意思が感じられます。
みなさんの知らないところでもメタバースやNFTの領域は様々な業界で企業が先駆者になろうと躍起になっており、そう遠くない将来「知らない」では済まされない根幹技術となっていてもおかしくはありません。みなさんには仮想通貨の特徴を理解いただき、少しでも資産形成のお役に立てれば幸いです。